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シンプルに考える

    LINE株式会社の元社長によるビジネス論です。「ユーザへの価値提供」だけを見たシンプルな考え方ですが、めちゃくちゃ厳しいですね。

 

【作者】

  森川亮

 

【あらすじ・概要】

     ビジネスは「ユーザの求めるものを真剣勝負で徹底的に求めることにある」とし、「人」を重視する著者のビジネス論。

     日本テレビ、SONYという大手企業から、小規模のベンチャーであるハンゲーム ジャパンを経て、LINE株式会社の社長となった著者の経験に基づく。

 

  以下、印象に残った部分をランダムに挙げていく。

 

① ビジネスは戦いではない

     ライバルとの戦いではなく、ユーザだけを見る。「求める人」と「与える人」のエコシステムがビジネスの目的。

 

 

② 差別化は狙わない

     差別化が目的とすると、ライバルとの戦いが主眼になってしまい、ユーザーにとって価値があるかという視点が失われる。「先行者の最も価値がある部分にフォーカスし、その価値のみを掘り下げる」ことが大事。

     例えば Googleは 先行する Yahooのサービスの内、最もユーザに求められていると思われる「検索」に特化し深めた。

      LINEも多機能を狙うことはできたが、当初はテキストベースのメッセンジャー機能を簡略化することに集中し成功した。

 

 

③ 経営は管理ではない

     ユーザに価値を提供している現場を邪魔せず、エンパワーすることが経営の仕事。

     計画立案や情報共有、報告や会議などは極力減らし、ユーザに近い現場が自由に動けるよう権限移譲を進めていくべき。

     トップの仕事は、現場を任せられるリーダを選ぶことと、そのリーダーが成果を出せない時に、果然とリーダーをやめさせることだけだという。

 

④ 仕事はしんどくて当たり前

     「仕事を楽しもう!」というのには共感できないという。楽しいと感じられないことに打ち込むことはできないが、ユーザのニーズから1ミリもズレないように、クオリティの高い製品を生み出すには、身を削るような努力が不可欠。

       「失敗を経験に成長する」ことはあっても、ユーザが貴重なお金と時間をかけてくれることを考えれば、ロールアウトした製品が失敗しても良いとは絶対に考えられない。

 

 

【感想・考察】

      極めてシンプルに「ユーザへの価値提供」を追求する姿勢だ。経営も「ユーザの価値を真剣に考え実行する人」を集める人事政策を主眼とし、彼らを「邪魔しない」ことを経営の目的としている。

      著者自身に大企業の勤務経験もあることから、日本企業の弱みと、そうなってしまう必然性を理解しつつ、あえて厳しい提言をしている。

      全体のパイが縮小傾向にある中では「ユーザーのニーズ」を的確に捉えなければ置いていかれるし、その価値提供に対して真摯に取り組まなければ見放されるという見方をしている。とてつもなく厳しい世界だ。

 

      「自分が楽しいと思えることに没頭し、それが他者への価値提供に繋がる」ようなフィールドを見つけることが一番良いのだと思うが、それが難しい。

 

【オススメ度】

  ★

 

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