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名探偵の証明 《名探偵の証明》シリーズ

 1980年代に活躍したかつての名探偵が、2010年代の名探偵と共に事件を解決する話です。「名探偵」という伝説上の職業が実在したら、こういう悲哀を背負うのだろうか、というハードボイルド寄りのストーリーでした。

 

【作者】

 市川哲也

 

【あらすじ・概要】

 1980年代、名探偵の「屋敷」は、巡査長の「武富」と共に数々の事件を解決するヒーローだった。冒頭では、外部から断絶された孤島での連続殺人事件の謎を解決する。

 それから30年の時が過ぎた現代、屋敷はとある事情で探偵職から半ば手を引いていたが、かつての戦友である武富から発破をかけられ、脅迫状を受け取った資産家の別荘に訪れたが、そこには「現代の名探偵」である蜜柑も呼ばれていた。内側から鍵にテープが張られ、外に側には鍵穴すらない完璧な密室での殺人で、新旧名探偵が推理をたたかわせる。

 蜜柑との対決の後、屋敷は探偵を辞め別居していた妻の元に帰る。平穏な日々に幸せを感じる屋敷だったが、満たされない思いも抱え続けていた。

 

【感想・考察】

 屋敷は論理的に推理をするだけでなく、相手をどのように追い詰め、どのように降伏させるのか、心理的な駆け引きを行う様子が描かれている。探偵の一人称視点で描かれているので「ここでは相手を興奮させないように」とか「相手の動揺を確認して次の手を出す」など、心理戦の内側が見えるのが面白い。

 一方で蜜柑は最近のミステリでよくあるような「不思議美少女系の探偵」だ。昔からの探偵が老い衰え、現代の美少女探偵が批判を受けつつ持てはやされているのは、「本格ミステリ」が古臭く感じられる一方で「ラノベ風ミステリ」が批判されつつも売上は悪くない、という状況をメタ的に書いているのだろうか。

 終わり方をみて続編はないのかと思ったが、蜜柑を主人公に据えた話がシリーズ展開されているようなので読んでみよう。

 

【オススメ度】

 ★★★☆☆

 

 

 

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