オカルトトリック Smoke And Mirrors
前作「オカルトトリック」がかなり面白かったので、続編となる本作を読んでみました。
前作の主人公であった陰陽氏の禅は端役出演で、もう一人の主人公だった奇術師 凛 も、それほど活躍するわけではありませんでした。それでも、各キャラのオカルト的な現象への向き合い方など前作の設定を引き継いでいるので、両方を読んだ方が面白いと思います。
【作者】
八槻翔
【あらすじ・概要】
千夜高校1年生の いのり は、先輩の沙耶が超常的な力を持っているのではないか、と考え近づこうとする。沙耶の姉である環奈が部長を務める占い部に入部し、沙耶の友人でもある奇術師の凛とも親しくなる。
占い部部長の環奈は、コールドリーディング、ホットリーディング、バーナム効果を使いこなし、超常的な能力を演出するが、あくまで相手を良い方向へ導くコーチングのための演出としてとらえている。奇術師の凛も、オカルト的な出来事は全て説明可能だと考えている。
自らも夢占いをする いのり は、それでも超常的な能力の実在に極端なこだわりを示す。いのり自身が守ろうとしているものが、彼女を苦しめていく。
【感想・考察】
「夢は記憶を整理している脳が見せるデタラメで、フロイトやユングは変態」と言う凛、超能力のような予知夢を否定しながらも、「夢には見る人の意識が濃厚に反映されている」と考える環奈や、自分の背負った業から「夢に縛られ続けている」いのり達、それぞれ異なる立ち位置での論理を「女子高生の会話」に乗せて対比させているのは中々面白い。
シリーズ外であってもこういうテーマを掘り下げた作品があれば、また読みたいと思う。
【オススメ度】
★★★☆☆