仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?
ビジネス経営者などの話では、よく「失敗は成功への一里塚」言われています。
でもこの著者は、原子力発電所のシステムなど「失敗が絶対に許されない」部分に携わりながら、「失敗学」を研究し、失敗の撲滅を目指しています。
「失敗は成功のもと」と言う人も「失敗は絶対避けるべき」と言う人も、目指しているところは同じですが、違う見方からの話を読むのも面白いです。
【作者】
飯野謙次
【あらすじ・概要】
失敗が許されない「工学的見地」から研究されている「失敗学」を日常の仕事や個人のミスについて適用して考える。
仕事で起こる失敗を以下の4種類に分け、それぞれに関するような具体的な提案をしている。
①注意不足
「次回から注意します」という気合いでは何も解決しない。
注意力を保たなければならないような「仕事の設計」が間違えている。
・外出時に持っていくべき荷物は靴の上に置いておく。
・スケジュールはカレンダー共有の仕組みなどを使う。
・個別項目では判断の余地がないようなチェックリストを作る。
・ダブルチェックは、違う人が違う見方でチェックする。
②伝達不良
「暗黙知」を「形式知」にしていく。
・メールの扱いに注意。
伝えたいことを最初に書く。添付ファイルではなく極力ファイル共有。
・相手の意図を言葉に直して確認する。
③計画不良
・普段から仕事量を見積もり、時間感覚をつけておく。
・マルチタスクは避けるべきだが、種類の違う作業は脳を休める。
④学習不足
・知らないことは恥じず、機会を見つけて学んでいく。
・Googleは最大限活用。
・学習には不純な動機があったほうがいい。
【感想・考察】
「敵を知り己を知れば、百戦危うからず」という言葉を紹介している。
「敵」を分析するのは楽しく、精力を傾けて取り組めるが、「おのれ」を分析し強み弱みを分析することは、非常に苦しい。
ただ「おのれ」を知ることがなければ、失敗は失敗のままで学びにならない。「自分と向き合うことが苦ではなくなる仕組み」ができればいいのだけれど。
【オススメ度】
★★☆☆☆