ジーキル博士とハイド氏の怪事件
有名な古典作品ですが初めて読みました。
思ったよりもしっかりしたミステリで、有名すぎる結論は知っていましたが、楽しむことができました。
【作者】
ロバート・ルイス・スティーブンソン
【あらすじ・概要】
弁護士のアッタスンはハイド氏の悪いうわさを聞き強い嫌悪感を覚えているが、
友人のジーキル博士は、そのハイド氏に遺産を残すとした遺書を託す。
アータッスンはジーキルがハイドに弱みを握られているのではないかと訝り
関係を清算するように進言するが、聞き入れられない。
ハイドが国会議員を殺傷事件を起こしてから、ジーキルはハイドとの関係を断ったように見えたが、またジーキルの家にハイドが潜んでいることが目撃される。
やがてジーキルが部屋から出てこなくなり、ハイドに殺されたのではないかと考えた使用人はアータッスンと共に部屋にのりこみ、自殺したハイドを見つけた。
ジーキルが残した手記には、ハイドはジーキルが合成した薬品により出現した
自身の「純粋な悪」部分であることが告白されていた。
ジーキルは抑圧から外れて悪行を行う気持ちよさに溺れ、ハイドとして活動する時間を増やしていた。いつしか薬を飲まなくてもハイドに変身するようになり、ジーキルに戻るための薬の材料が足りなくなっていた。
追い詰められたジーキルは自ら命を絶つことを選んだのだった。
【感想・考察】
「ジキルとハイド」は二重人格の代名詞となるくらい有名な話だが、細かい内容は良く知らなかった。
ハイド氏は人の「純粋な悪」を表出した姿であり「誰もが悪を抑圧しているから、誰が見ても嫌悪感を抱く」という設定は生々しい。
「一個人の中の善悪は完全に区別できる」ということはあり得ないと思うのだが、
前提として「絶対的な正しさ」が有って、そこに近づこうとする態度は、疑いなく「善」だ、ということなのだろう。
19世紀後半のイギリスの善悪二元論的な世界観を体感することができた。
【オススメ度】
★★☆☆☆