毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

ロッキンオン・ロックドドア

 「探偵と助手」は王道ですが、探偵が二人というのは珍しいです。「名探偵」がズバリと真相に切り込む格好良さはないですが、不完全な探偵二人がお互い補いながら徐々に真相に近づくのは斬新でした。「十円玉が少なすぎる」のように純粋な論理ゲームを楽しむ話も味わいがあっていいですね。


【作者】
青崎有吾

【あらすじ・概要】

 不可能犯罪(ハウダニット)専門の御殿場倒理と、不可解犯罪(ワイダニット)専門の片無氷雨は探偵事務所「ノッキンオン・ロックドドア」を共同経営する。

二人の探偵が解決する7つの連作ミステリ短編集。

 

・ノッキンオン・ロックトドア
 画家が内側から施錠された密室で殺された。部屋には額から外された6枚の絵が散らばり、そのうちの1枚は赤く塗られていた。
依頼を受けた倒理と氷雨は、大学で同期だった警部補の穿地と密室の謎に挑む。

 

・髪の短くなった死体
 小劇団の練習場で荷造りをしている最中、団長の女性が殺害された。
 下着だけでシャワーをかけられた状態でユニットバスに沈められていた。
 被害者の長い髪が切られなくなっていたことが判明、関係者それぞれの意図が事件を複雑にしていく。

 

・ダイヤルWを回せ!
 「祖父の遺言状に書かれた番号で金庫があかない」という依頼者と、「父が亡くなったのは事故死とは思えない」依頼者が同時に訪れる。二人は手分けをして捜査をするが、二つの事件はつながっていく。

 

・チープ・トリック
 大きな情報漏洩のあった通信教育会社の役員が自宅で射殺された。
狙撃を恐れていた被害者は部屋のカーテンを閉め切り、窓際に近づかないよう気を付けていたが、分厚い遮光カーテン越しに心臓を打たれていた。倒理、氷雨、穿地たちと知り合いである「美影」が、犯罪計画のデザインを売り込み陰から手を引いている。

 

・いわゆる一つの雪密室
 雪の積もった空き地の真ん中で男が包丁で刺され死んでいた。
死亡推定時刻前に雪は止んでいたが、足跡は被害者本人のものだけだった。
典型的な雪の足跡密室を、ハウダニットとワイダニットの両側から考え、徐々に真相に迫っていく。

 

・十円玉が少なすぎる
 ノッキンオン・ロックドドアでバイトする女子高生「薬子」。
通学途中に彼女が聞いた「十円玉が少なすぎる」という言葉から、倒理と氷雨は推理ゲームを楽しむ。
何故10円玉でなければいけないのか、短い言葉から状況を絞り込んでいく。

 

・限りなく確実な毒殺
 政界復帰を目指す政治家がパーティーの場で毒殺される。
被害者が飲んだシャンパングラスだけから毒が検出されたが、完全にランダムにグラスを選んでいる。グラスを選んだ後には、撮影された動画からも周囲の人たちの証言でも、毒を入れるような動作は全く見られなかった。
この事件にも「美影」の殺人計画が関与している。

 

【感想・考察】

 不可能犯罪専門と不可解犯罪専門というダブル探偵の発想は面白い。
一気に解決するのではなく、トリックと心理の両面から試行錯誤を繰り返しながら徐々に真相に近づく。
ただ両探偵のキャラが被っていて、ダブル探偵の設定がそこまで生きていない感じがした。
 倒理、氷雨、穿地、美影の4人の過去が気になるので、次回作に期待したい。

 

【オススメ度】

 ★★☆☆☆ 

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