毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

天使像の祈り その他の短編

【作者】

 赤井五郎

 

【あらすじ・概要】

 8つの短編小説集。

 

・五月の涙

 家から富士山が見えるなら富士山からも家が見えると思っていた子供の頃、富士山から家にいるはずの母親に向かって手を振った。大人になり自分を大切にしてくれる人と過ごす5月のある日、富士山に向かいすでに亡き母に向かって手を振る。

 

・祭祀の季節

 祭りの日、兄弟で器物職人の父親が作ったボウルを売るが、売れ行きは鈍い。1日目の終わりに訪れた少年がボウルを買おうとするがお金がなく売ることはできなかった。2日目に州の官吏が最も大きく高価なボウルを買ったことを皮切りに急に売れ出す。

 

・水の都の惨劇

 浦島太郎が竜宮城で接待を受ける。ある夜侍従の女性が、調理係の青年がいなくなったと泣いているところを見つけ事情を聞く。翌日浦島太郎がその青年について聞いても誰もそんな人は知らないと言う。翌日には泣いていた侍従の女性もいなくなり、誰も何も知らないという。

 

・銀と金の弾丸

 リオンド・タイガーと旅をする「鎮め屋」。現世に取り残された霊魂に銀の弾丸を打ち込み、成仏させるのが彼の仕事。砂に埋もれた荒野で両親を探している少女と出会う。

 

・静物のつぶやきあるいは珈琲カップの悲劇

 息子が戻ってきたことを祝うパーティーを開いた日、屋敷の当主が自室で死んでいた。扉、階段、飾ってある絵、電話、シャワーカーテンなどの静物たちが、自分のいた位置で知り得た真実を語る。

 

・帰郷

 30年前に住んでいた街に訪れた男。子供の頃は秘密基地に向かう道で妖精のライバと話していたことを思い出す。ライバは「人間は大人になると私を見ることができなくなる」と言っていた。男も成長するに従い友達と遊ぶことが楽しくなり、徐々にライバのことを忘れてしまっていた。

 

・天使像の祈り

 屋敷の当主が首をつって死んでいた。当主の弟が階段から落ちて怪我をし、未亡人となった当主の妻はやで胸を射られて死んでしまう。一連の犯行を見て射た天使像は何を思うのか。

 

・夢の贈り物

 ガラスの猫の人形をなくし泣いて射た子供。夢の中でたくさんの箱の中から好きなものを選びプレゼントをもらう。呼び鈴の音を聞くと夢から目覚め、プレゼントは無くなってしまう。子供は成長し、夢の世界の贈り物の箱はだんだん少なくなっていく。

 

【感想・考察】

 ファンタジーよりの話からミステリまで幅広いが、「今の世界と少し違う世界」を感じさせる。夢の中で夢を認識しているように、違和感を感じながらも、暖かく包み込むような世界。ストーリーが凝っている訳ではないが、雰囲気に浸るのが心地よい。

 

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