宵闇天化 上・下
【作者】
ヤマダマコト
【あらすじ・概要】
金色天下、天下爛漫 に続く「天下シリーズ」第3弾。化粧などの技術で人の心に影響を及ぼす天下を伝承する 卜部家三姉弟の活躍を描く。今作では卜部家にもう一人の妹が加わり強大な権力との闘いに挑む。
原発稼働反対等を訴える学生団体 イエローナイフとその代表である赤城、京都の天下師である嵯峨根と彼を追うアイドルユニット、一年前の県知事殺害未遂事件のアタッカーであった大槻四郎、ひき逃げで友人を失ったが、犯人が政界の有力者で検挙できないことに打ちひしがれる警察官、などそれぞれの思いが事件につながっていく。
警察機構に食い込んだ黒幕が 卜部家4人を逮捕、拘束を図る。同時期に国際農業会議の場で、農林水産大臣の命が狙われているとの情報が流れる。
卜部家の 綾乃、コガネ、航と 聡美はどのように戦っていくのか。
【感想・考察】
時系列を並び変えたプロットなど、叙述トリック的に読者を「騙す」部分がありかなり楽しめた。
前作では催眠術的な「天下」という技術が使われているので How Done It を探るようなミステリの楽しみ方はできなかったが、この作品で「天下」はアクション要素程度の扱いで、「誰と誰がどのような関係で、何のために何をしようとしているのか?」を読み解かせるきちんとしたストーリーになっている。上下巻でかなりのボリュームだが一気に読める。
この世界でのきっちりとしたミステリをもっと読みたい。