無限大ガール
【作者】
【あらすじ・概要】
早奈は中学の頃からあこがれていた先輩と高校に入って付き合い始めたが
「早奈には自分というものがない、虚無だ」と言われ振られてしまう。
心の隙間を埋めるように「ハケン部員」として人手の足りない様々な部活に助っ人参加し
目立たずミスをせず、無難にこなしていた。
ある日演劇部からの助っ人要請があり、ミュージカルの主役を引き受ける。
後になって台本を書いたのが自分を振った先輩だったと気付き動転するが
演劇の練習に入り、「刷り込みから抜け出そうとするネズミ達のリーダーネズ美」の
役を演じるうち完全に没入し、先輩からも最大限の賞賛を受ける。
先輩に対しては普段でも「ネズ美」の役柄で接するうちに、
先輩からは復縁の申し出もあったが、早奈の心の中では
演劇に本気で取り組む熱さが生まれてくる。
【感想・考察】
Kindle Singlesという短編切売りの作品でごく短いのだが、中々面白い。
「虚無」と言われた早奈だが、それは無限大の受け入れ容量を持っているということ。
その部分も含めて自分自身として受け入れていくことが描かれている。
人はだれも「虚無」から始まり、様々なものを受け入れながら自分の色を作り出していく。
成長してもまだ「受け入れ余地」を大きく残している人は、成長の可能性があるともいえるだろう。
「何にもないってこと、それは何でもありってこと」