毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

人間失格

【作者】

 太宰治

 

【あらすじ・概要】

 ある男の手記を見た小説家の記録として書かれる。3枚の写真を見て、幼いころの卑屈な笑顔、青年期の空虚な笑い、老年と思われる何の感情もない顔を見て、嫌悪感を覚える。

 田舎の裕福な家に生まれた「葉蔵」は幼いころから周囲の人間と普通に相対することができず「道化」の仮面を被って自分の心を隠し暮らしてきた。勉強などは労せずに良い成績を取れ、客観的に見ればうまくやっている少年だったが、内面では人の心が理解できない苦しみを抱えていた。

 長じて東京の学校に通うようになったが、徐々に身を持ち崩すようになる。世間を理解できない苦しさから、酒に逃げたり、共産主義の非合法な活動に安らぎを感じたりしたが幸せを感じることはできなかった。日々苦しさを感じ鬱々としていたが、女性に惚れられる体質で何人かの女性のもとに転がり込んで生活を続ける。

 そのうちの一人と心中を図るが自分だけが生き残り、自殺ほう助で逮捕される。結局は起訴猶予となるが、両親から離縁されさらに苦しい生活を送る。そんな中でも別の女性と暮らし始めるが、アルコールやモルヒネに耽溺し廃人同様となって精神病院に隔離される。 

 

【感想・考察】

 人間の心を理解できない人間のクズとして描かれる葉蔵。様々な女性とかかわりを持ち、自殺を繰り返す姿は作者本人の生き方を醒めた視線で見たものなのだろう。「人と対峙するのが怖い」という気持ちは理解できるし、幼少期の心情はそれほど特異なものではなかったのだと思う。裕福ゆえに図太い野蛮さがなく、繊細な感性と頭の良さから、世界を斜めに見るようになってしまったのだろう。

 「地に足の着いた図太さ」は生きる上で極めて強力な武器なのだと改めて思う。

 

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