内向型を強みにする
【作者】
マーティ O. レイニー
【あらすじ・概要】
人間には内向型と外向型があるとする。
内向型の人間は副交感神経が優勢で、外部の刺激からはエネルギーを得にくく、狭く深い関係を好み、自分一人で過ごす時間・場所を必要とする。自分の内側に入り込むことでエネルギーを生み出す。スタミナがある方ではなく、よく考えてから反応をするため、周囲からは怠けているとか鈍いと思われることもある。
外向型の人間は交感神経が優勢で、外部の刺激からエネルギーを得る。広く新しい人間関係や経験を求める。人と一緒に過ごすことが苦痛ではなく、人からフィードバックをもらうことが苦痛ではない。急に疲れることはあるが、基本的にはエネルギッシュで活動的。話しながら考えをまとめるので反応も早い。
内向型と外向型は排他的なものではなく、全ての人は両極端の間のどこかにいるし、成長段階やその時の状況によって変化しうるもの。
内向型と外向型のどちらが良いということはなく、それぞれの特性があるだけだとしている。一方で内向型は社交や仕事においていも不利なことが多い。
内向型の人間は、3つのPを意識すると良いとしている。
・自分のペース(Pace)を設定し、必要な時はエネルギーをセーブし、周囲に無理に合わせようとしない。大きく複雑なゴールに対しては分割した目標を淡々とこなしていくと楽になる。
・自分の最優先事項(Priority)を決め、それ以外のことにエネルギーを割かない。
・できることとできないことの境界(Parameter)を緩やかに持つ。できないときは恐れずいNoと言えばいいし、やりたいことはYes と言えばいいが、どちらでも周囲に大きな影響はない。すぐに答えられなければ一晩寝かせてもいい。「たぶんどっちか」でいい。
【感想・考察】
内向型・外向型の傾向はあるのだと思うが、人は色々なパラメータが複雑に絡み合うもので、単純化はできるものではない。この本の表現に沿うと私は、外界からの刺激や新奇なものを愛する外向型だが、対人関係においては深く踏み込まれることを嫌い、一人の時間を持ちたいと思う極端な内向型だ。
人に単純なラベル貼りはできないが、前に読んだ「話を聞かない男、地図が読めない女」でも「男脳、女脳」とシンプルに仕分けていたように、単純に見たいと思うものなのだろう。単純化することで多少は理解ができるし、実生活でも役立つことはある。一方で、自分の前にいる「その人」を見る目が曇ってしまうことは避けたい。
ためになる内容も多いが、同じ話を繰り返している部分もあるので、ざっと流して読むくらいで良い本かもしれない。