毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

ザ・ロングラン 人生を走り出す日まで

【作者】

 ミシュカ シバリー

 

【あらすじ・概要】

 著者はアルコールに依存し、ドラッグに溺れる自堕落な日々を過ごしていた。「あなたは丈夫じゃない」と母親に言われていたが、長い期間アルコールや薬物に依存していたにも関わらず、肉体的には病気はなかった。

 禁酒をしながらバーのドアマン兼警備員として働いていたある日、客の喧嘩の後片付けで心がクサり、無心で走ってみた。最初は少しの距離であったが徐々に10マイル、ハーフマラソン、フルマラソン、100マイルのウルトラマラソンと距離を伸ばしてった。

 酒を飲んでいた時代と比べ友達の数は減ったが、一時的ではあれ支えてくれる女性を得たり、走りを共有する友人と深い友情を築くことができた。長距離ランナーにつきまとう膝や足の痛みと付き合いながら、走ることに傾倒していく。

 本書の最後では、24時間以内での100マイル完走を目指す友人をサポートする様子を臨場感あふれる描写で締めくくっている。

 

【感想・考察】

 アルコールやドラッグに溺れる自堕落な生活から、走ることを知って、人に支えられ人を支え、人と喜びを共有する日々を知る。

 彼は結局何かに依存していて、その対象がアルコールやドラッグから「走ること」に変わっただけだとも言える。走り方にしても「健康のための適度な走り」ではなく、自分を追い込み「脳内麻薬によるランナーズハイ」を得るような、ある意味「不健康な走り」になっている。

 しかしながら、彼の精神はアルコールやドラッグに依存していた時代の内側に向かって沈み込んでいく感じから、外に向かって開いていく感じに明確に変化している。「体を動かす」ということは人間の精神に直接的に働きかけることがあるのは間違い無いのだろう。

 私自身はアルコールに極端に弱く、酔いを感じる前に体が音をあげるし、マラソンに挑戦してもランナーズハイに至る前に膝の痛みで走れなくなる軟弱さだし、ドラッグにも手を出したことはない。自分の精神は常に自分で作った枠組みの中に収まっている。枠を外れた人の話を聞くと、見える色合いの違いに驚かされる。

 

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