ビジネスマンのための「読書力」養成講座 小宮流 頭をよくする読書法
【作者】
小宮一慶
【あらすじ・概要】
読書は論理的思考力を高めるために役立つとしている。
What(現象として何が起きているのか)→ Why(なぜそうなっているのか)→ How(そのことを自分の問題にどうあてはめていけるのか)
という考え方をすることが必要。そのための、読み方と推奨する本を紹介している。
読書を速さではなく、目的に応じて5種類に分けている。
①速読
「情報を得るため」に要点を拾い読みする方法。
対象分野についてある程度の知識がないと難しい。速読は「頭をよくする」ことには繋がらない。ミーティングの前の限られた時間で情報収集をする場合や、新聞を読む場合などに適している。
②通読1
「読書を楽しむため」、最初から最後まで通し、メモなどは取らずに読む。
必要な知識を得ながら大枠を掴む読書。純粋に楽しむための小説や各分野の入門書などが適している。「仮説」を持って読むことで、その「検証」に意識が向かうのでより深く読むことができる。
③通読2
「論理的思考能力を高め、一流の人間の知識や思考方法を学び取るため」、深い論理的思考を持って書かれた質の高い本を、ライン引きやメモなどをしながら、じっくりと読み込む。
自分の論理的思考力より高いレベルで書かれた内容は理解が難しいが、時間をかけ読み切る努力を繰り返すと、自分の論理能力も向上して行く。質の高い本を選択することが重要。経営・会計・マーケティング・HRなどについてそれぞれ推奨する本を紹介。
④熟読
「論理的思考力をさらに高め、各分野で十分なレベルの理解を得るため」、本の脚注や参考書籍なども読み込み、最新のデータなども参照しながら、論理をしっかりと追い、What→Why→How の分析をし、関連づけをしながら、広く深く読み込む。
一冊の本を通読する必要はなく、重要な部分、興味のある部分だけを深く読み込んでも良い。観念的な本よりは論理的な本の方が適している。ある分野について30時間ほどかけて数冊の本を熟読すれば、その分野について専門家と対等に話すことができるレベルに達することができる。
⑤重読
「意識を高め、人間としての成長を促すため」良い本を繰り返し何度も読む。
知識を得るためではなく、自分の生きる姿勢を正してくれる本は同じものをくり返し読むことで効果が高まる。人生のステージが変わるたびに同じ本を読んでも得られる内容は変わってくる。
【感想・考察】
読書により論理的思考能力を高め、専門分野についての造詣を深めよう、という本だが、「良い本」として勧められているのは、著者の専門分野である 経営・会計・法務・マーケティングなどに偏っている感はある。推奨された本で読みたいと思うものはあるが、人文科学や自然科学などの分野でもレベルの高い本を探してよみたいと思った。
「重読」で紹介していた柿の2冊は特に興味があるので、すぐに読んでみよう。
「菜根譚」明の時代の、洪自誠 が遺した「儒教・道教・禅」の思想が一体となった処世訓。http://amzn.to/2EHa3CG
「論語の活学」 安岡正篤氏が論語をベースに語る哲学。http://amzn.to/2EFwJTW