シャンデリア
【作者】
川上未映子
【あらすじ・概要】
毎日のように開店からデパートに入り浸る「デパート依存症」とでも言うべき主人公の女性。わずかばかりのお金に苦労した母を亡くしたあと、忘れていた機器埋込効果音の著作権で高額の印税を手に入れたことから、デパート通いが始まる。
自分と同類の女性たちに冷たい軽蔑や敵意を示し、煌びやかなシャンデリアが落下して押しつぶされることを夢想する。
ブランド物に身を包む醜悪な老女に気に入られ、プレゼンをもらうが別れ際に罵詈雑言を投げかける。一人泣いていたタクシーで、地方都市から出てきた若い女性ドライバーから、涙を拭くためのハンカチをもらう。
【感想・考察】
ブランドに誘引される女性たちに腐臭を感じ、そこに逃げざるを得ない心の空隙を残酷に描く。「シャンデリアになって自分を押し潰したい、シャンデリアに押しつぶされたい」という自分と、純朴なタクシードライバーに暖められる自分が乖離している感覚がリアルだと思う。