毎日一冊! Kennie の読書日記

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晩夏に捧ぐ 成風堂書店事件メモ

【作者】

 大崎 梢

 

【あらすじ・概要】

 成風堂書店シリーズの番外編。連作短編集ではなく長編になっている。

成風堂で働く杏子の元に、以前の同僚であった美保からの手紙が届く。「今働いている信州の書店「まるう堂」で幽霊が出る、成風堂で「書店に関わる事件」を解決する探偵として有名な、多絵と一緒にきて欲しい」

 杏子と多絵は、8月の終わりに遅い夏休みを取り信州を訪れる。幽霊事件を調べるうちに、27年前に起こった作家殺人事件の謎が関わっていることが見えてくる。作家を殺したとして逮捕され、獄中死した書生の残した思いとは何だったのか、多絵の推理で真相が浮かび上がってくる。

 

【感想・考察】

 本屋マニアが全開になっている連作短編集「配達あかずきん」と「サイン会はいかが」も面白かったが、この長編も違った面白さがあった。短編ではごく日常的な出来事の謎をといていく話だが、本作では殺人事件を扱うオーソドックスなミステリになっている。容疑者との会話の駆け引きや伏線の張り方など、長編だからこそできる本格ミステリ仕立てでじっくり楽しむことができた。また、晩夏の信州の少しさびれた空気感がよく表現されていた。雨が降り出し「水墨画のような」風景になる情景が鮮やかに眼に浮かぶ。作者の描写の力量に改めて驚いた。

 

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