漫画でよく分かるエッセンシャル思考
【作者】
グレック・マキューン、星井 博文、サノマリナ
【あらすじ・概要】
グレック・マキューン氏の「エッセンシャル思考」の要素をダイジェスト的に取り上げ、漫画を使って具体的な例を示している。99%の無駄を捨て、1%の本当に大切なことに集中するという主旨は原著と同じ。
・99%の無駄を捨て1%に集中する。
「やらなくてはいけない」ではなく「やると決める」
「どれも大事」ではなく「大事なものはめったにない」
「全部できる」ではなく「何でもできるが、全部はやらない」
という考え方を推奨している。
・努力の方向性を絞れば遠くまで行ける。
優秀な人ほど人から頼られ便利屋になりがちだが、行きたい方向に全部の力を集中することで、より遠くまで行ける。不要なものを切る捨てる強さが必要。
・些末なことを捨てる。
90点主義で完全に良いモノ、本当に鵜やりたいことだけに集中する。70点でまあ悪くないことに時間を費やすことは、本当に良いモノを得るためにはマイナスになる。
・本当に大事なもの、そのための最短距離を見極める。
見極めるためには、一度立ち止まって考える時間を取る。一人になる時間も必要。意図的に集中できる時間を作ること。
・遊びは大事。
遊びは精神の柔軟性を高めてくれるし、活力を与えてくれる。遊び心は忘れない。
・刺激的で具体的な「本質目標」を定める。
刺激的だが具体性が無い「ミッション」は、それだけでは具体的な行動には結び付けにくい。具体的だが刺激が無いのは、例えば「中期経営計画」のようなもので、必要ではあるが、人々を鼓舞する力は弱い。刺激的でかつ具体的な目標が自分も人も引っ張っていく。
・断り方、捨て方が大事。
重要な1%に集中するため 99%の雑事を断ることが必要。断り方をいくつか挙げている。「数秒沈黙してから意見を言う」、「代替案を出す」、「予定を確認して折り返す、として即決を避ける」、「相手に優先順位を選ばせる」、「冗談めかして断る」、「肯定しつつ、本質部分を断る」など。
取り組んできたことを捨てるには、サンクコストを大きく見積もらない。
・最悪の事態を予想しバッファを設ける
次部でできると思うことの半分から3分の2くらいしかできない。バッファを設けることで、しなりを全体が崩壊することを避ける。「小さく早く」始めることも大事。
・「今」「ここ」に集中する
やるべきことが多くて混乱している時は、まず書き出す等で、外部に出し整理するだけでだいぶ落ち着く。その後に優先順位を決めて一ずつ取り組めばいい。
【感想・考察】
原著の「エッセンシャル思考」も分かりやすく書かれていたが、具体例を示すのに漫画を使うことで更に理解を深めることができた。アドラー心理学を解説する漫画でも感じたが、文章での論理的な説明と漫画などを使った具体的内容の解説を併用することは効果が高いと感じた。漫画だけでは絵のインパクトが強すぎて、論理的な理解を妨げることもあるので文章による表現と「両方」というのがポイントだろう。
「重要な1%に集中すべし」ということには100%同意するが、些事を回避するのに難しさを感じる。断る為のテクニックもあるだろうが「本質目標」がどれだけ自分を引っ張ろうとしているか、動機づけの強さも重要な要素なのだろう。