神保町奇譚「花咲舞がだまってない」シリーズ
【作者】
池井戸 潤
【あらすじ・概要】
神保町の寿司屋で舞と相馬が聞いた奇妙な話から物語が始まる。
老婦人が数年前になくなった娘の保有していた銀行口座を解約しに行ったところ、娘の死後に数千万円の入金があり、最終的には全て出金されていたことが分かった。
娘は医薬品開発のベンチャー企業に勤めていたが、利益化まで待てない出資元の横暴により身売りを余儀なくされ、結局は資金繰りの悪化して倒産していた。
倒産したベンチャー企業社長が再度医薬品会社を立ち上げ成功していることを偶然聞いた舞は、その社長と話し、亡くなった老婦人の娘と彼の間に起こった出来事を知る。
【感想・考察】
いつもの池井戸氏の作品と同じく、銀行員がお金の流れを解明していくことで謎が解き明かされ、その背後にある人間ドラマが浮かび上がる。死後の銀行口座でお金が動いているということで、何らかのマネーロンダリングがあったことは容易に想像できるが、人の誠実さとそれを支えたいという想いの美しさに感動させられる話だった。