天久鷹央の推理カルテⅤー神秘のセラピスト
【作者】
知念 実希人
【あらすじ・概要】
天久鷹央シリーズの第5作となる短編集。
「雑踏の腐敗」:「人混みに入ると体が腐る」と訴える青年の話。田舎から出て姉と暮らす青年が渋谷の人混みで体が末端から腐ると言う。人混みを離れると症状がなくなるため、パニック障害によるものと診断されたが、鷹央は青年の訴えを真摯に受け取り診断する。
「永遠に美しく」:70歳を過ぎた女性が突然若返った。「気」を使い細胞を活性化させたという整体師のトリックを暴くと同時に、その女性の病気にも気づく。
「聖者の刻印」:2度にわたり白血病を再発した少女の母親は、骨髄移植による治療を拒む。母親は「預言者」の「骨髄移植を行わなければ必ず治る」という言葉を信じ、頑なに治療を認めない。鷹央は血の涙を流し、手のひらに十字架を浮かび上がらせる「聖蹟」のトリックを暴くため奔走する。
【感想・考察】
最近この作者の作品を色々読んでいるが、このシリーズが最もラノベ的な軽さがある。医療モノとして医学知識を必ず組み込んでいてミステリとしても工夫されているが、相当デフォルメされたキャラたちの掛け合いを楽しむのが正しい読み方だろう。
単純に楽しく読める作品だった。