幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ
【作者】
知念実希人
【あらすじ・概要】
天久鷹央シリーズの最新刊。
手術終了後、全身麻酔から覚醒しつつあった患者と麻酔医の二人しかいない部屋で、麻酔医がメスで殺され、患者が容疑者とされた。その患者は主人公である鷹央、小鳥遊と同じ病院に勤務する研修医の鴻ノ池舞で、主人公たちは舞にかかった容疑を晴らすべく、調査を進める。
よ 手術室の監視カメラ画像に残された、被害者が誰かと争うような動きや、その病院で数ヶ月前から囁かれていた、透明人間の噂からオカルト気味な味付けがされているが、いつものように医療知識が鍵となるミステリだった。
【感想・概要】
いつもながら、ミステリとしては若干強引だが、各キャラクタの魅力が引き立っていた。鷹央は他人の心を忖度することができないアスペルガーとして描かれているが、事実は事実として冷徹に向かい合いながらも、仲間を助けたいという思いの強さが暖かさを感じさせる。死神シリーズを読んでからこの作者の人間の描き方に一貫性を感じ、快さを感じるようになってきた。