またやぶけの夕焼け
【作者】
高野 秀行
【あらすじ・概要】
昭和40年代頃の少年の日常を描いた作品。一学年上の”カッチャン” を中心に集まったカッチャン軍団が、八王子を舞台に冒険を重ねていく。ドブ川の源泉まで歩いて見たり、ミヤマクワガタ取りや野球で盛り上がったり、手作り感溢れるゴルフ場を作って遊んだり、時には少女漫画を読んで結婚や恋愛に興味を持ってみたり、現代よりも大分おおらかな時代を感じられる話。”カッチャン”が小学校6年に進級し、徐々に”軍団”が失われていく中で、限りある少年の日々の美しさを鮮やかに書き出した本だった。
【感想・考察】
まだゲームなどが入り込んでくる前で、少年たちが近所で集まって、何だか分からないけれど、とても楽しかった少年の日々を思い出した。自分の少年時代よりは前の話だが、意味のないことが無性に楽しくて夢中になっていた時代の匂いを感じることができた。線路を歩くシーンなどでは和製 Stand By Me の様な雰囲気もあったが、日本に生きた自分にはこちらの方がダイレクトに伝わってきた。
最後は戻らない時間を思い切なくなり、ただ楽しかった時代を思い出し暖かい気持ちにもなった。