毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

ミステリ

『准教授・高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る』 澤村 御影

「准教授 高槻彰良の推察」シリーズ第2弾です。とくに「流行神」の話が面白かったですね。 「人は分からないものが怖い」だから無理にでも解釈しようとする。「人は自分で決めるのが怖い」だから何かにすがろうとする。飄々とした高槻の「分からないものは、…

『ゴーストコール: 電話線のない黒電話』 初瀬明生

数世代にまたがるミステリ、家族の絆の崩壊と再生、少年少女の淡い恋物語、幽霊が登場する軽いホラーなどなど、たくさんの要素が詰め込まれたお話。その分かなりのボリュームがある作品になっています。子供の視点から見た「大人たちになりきれていない大人…

『准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき』 澤村 御影

人の嘘が分かってしまう深町尚哉が、大学教授 高槻彰良の助手となって「怪奇現象」を調査するお話です。「オカルト+ミステリ」には、「オカルトを全肯定して、その中でのルールで謎解きをするもの」と「オカルトに見える現象を、リアルな視点で解き明かすも…

『作家刑事毒島』 中山七里

いままで読んだ中山七里さんの作品で一番好きかも。作家志望者に親でも殺されたのか、というくらい容赦ない毒舌。出版業界の異常な労働環境や、そこに働く人々の捻くれっぷり。これはさすがに「話を盛ってるな」と思いきや、奥付で この物語は完全なるフィク…

『虚構推理 スリーピング・マーダー』 城平京

「虚構推理」シリーズ第3弾!「たった一つの真実」を探すのではなく、より好都合な「虚構」を見つけ出すスタイルのミステリです。さらに今作は、ラストにもう一捻り入る展開でした。ひっくり返される「真実」と「虚構」の関係が面白いですね。「真実」に従う…

『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』城平京

虚構推理シリーズ第2弾!今回は短編集です。「あやかしたちの報告」で最初から真相が分かっているので、ある種の「倒叙ミステリ」といえるのですが、一般的な倒叙形式が持つ「犯人視点での追いつめられる緊迫感」がある訳ではありません。「真相」よりも都合…

『名探偵の事件簿』 如月恭介

「名探偵」の話ですが、いわゆる「ミステリ上の名探偵」とは違います。扱うのは実際の探偵業にもありそうな割と地味な案件。交際相手の素行調査だとか、失踪人探しだとか。捜査スタイルも地味。「切れ味鋭い推理で謎を解く」のでもなく、足を使い人脈を駆使…

『虚構推理』 城平京

「虚構」と「虚構」が争う、新しい切り口のミステリです。人は「真実」より「自分が信じたい物語」を信じるものです。「たった一つの真実」を探すミステリではなく、より深く人の心をつかむ「虚構」を求めていく、斬新なストーリー展開でした。続編を読んで…

『どこかでベートーヴェン』 中山七里

岬洋介シリーズ第4弾!岬の高校時代を描く「エピソード・ゼロ」的な位置づけです。前作『いつまでもショパン』は、音楽描写が圧巻で「音楽自体の力」に焦点を当てた作品でしたが、今回はミステリ側に振り戻したうえで「才能」の問題に踏み込んでいます。「特…

『いつまでもショパン』 中山七里

岬洋介シリーズ第3弾です。音楽と暴力の戦い、平和への祈りに満ちた物語でした。「音楽の力で戦いを止める」とか非現実的で普通に読んでいたら白けてしまいそうだけれど、そこに至るまでの畳みかけるような音楽描写が圧倒的で飲み込まれてしまいました。実際…

『横浜1963』 伊東潤

1963年の横浜で起きた連続殺人事件を追うミステリです。ハーフで白人系の顔を持つ日本人警察官と、日系三世で日本人の顔を持つ米国人軍人のダブル主人公。逆ベクトルから「異文化」「異人種」の問題を考えさせられました。個人的には1960年代の横浜の風景描…

『護られなかった者たちへ』 中山七里

手足を拘束され「餓死」させられた連続殺人事件から始まり、社会保障制度の矛盾へとつながる「社会派ミステリ」です。現行社会保障制度の不合理への怒りをにじませながら「それでもその条件で生き残っていくためにはどうすればいいのか」を訴えようとしてい…

『涼宮ハルヒの陰謀』 谷川 流

涼宮ハルヒシリーズ第7弾です。前作『涼宮ハルヒの動揺』の最終話『朝比奈みくるの憂鬱』から引き続いて、未来から干渉を受けた朝日奈とキョンが中心となるお話です。「未来の朝日奈」「8日後の朝日奈」「現在の朝日奈」が複雑に絡む、SF色の強い展開でした…

『おやすみラフマニノフ』 中山七里

音楽+ミステリ の岬洋介シリーズ第2弾。 密室から消えたストラディバリウス盗難事件を解くミステリに、プロ演奏家を目指す音大生たちの物語が重なります。シリーズ前作『さよならドビッシー』以上に音楽描写が前面に出て「音楽の力」を感じる作品でした。ラ…

『さよならドビュッシー』 中山七里

火事で祖父と従姉妹を失い、自らも重度の火傷を負った女子高生ピアニストが、自らの運命と向き合い闘っていくお話です。迫力のある音楽演奏の描写も素晴らしいし、綿密に伏線の張られたミステリトリックも良くできています。でも一番心に響いたのは、苦しさ…

『贖罪の奏鳴曲 御子柴礼司』 中山七里

御子柴礼司シリーズ第1弾です。緊迫した法廷バトルと、幾重にも重なったミステリの完成度が高いです。さらに御子柴礼司の「贖罪」に向かう姿勢が素晴らしい。以前間違えて、シリーズ2作目の『追憶の夜想曲』から読んでしまい、サイコパスっぽい御子柴に感情…

『ダマシ×ダマシ SWINDLER』 森博嗣

Xシリーズ第6弾、シリーズ完結編です! SYアート&リサーチの面々が、それぞれ次の一歩へと踏み出していきます。 森博嗣さんの最近のWシリーズなど「人がほとんど死なない世界」が描かれていて、事件は起きても変化の少ないその世界には閉塞感も感じます。サ…

『サイタ×サイタ EXPLOSIVE』 森博嗣

Xシリーズ第5弾です。探偵事務所に飛び込んだ匿名依頼主からの調査依頼。巷を騒がせている連続爆弾事件。その周辺で起きた連絡殺人事件。SYアート&リサーチの小川たちが事件を調査していきます。形而上学的で理屈っぽい会話と、急にぶっ込まれる情緒満載な…

『ムカシ×ムカシ REMINISCENCE』 森博嗣

「Xシリーズ」の第4弾です。今作には西之園萌絵が登場しないのが残念です。。 密室を作りつつその謎は完全スルーとか、ハウダニットは放棄されてます。その分、ワイダニットとして犯人の動機を問うのが焦点になっています。 リンク先にあらすじと感想を上げ…

『タカイ×タカイ CRUCIFIXION』 森博嗣

Xシリーズ第3弾! マジシャン邸宅の敷地内で、ポールに吊りあげられた死体が発見されます。誰が何の目的でどうやって殺したのか。Who Done It、Why Done It、How Done It の全要素が揃ったミステリィですが、今作では Who の部分に上手さを感じました。 今回…

『閻魔堂沙羅の推理奇譚 A+B+Cの殺人』 木元哉多

『閻魔堂沙羅の推理奇譚』シリーズ第7弾。前作に続いて今回も長編です。酒浸りで自堕落な男と、末期がんで余命僅かなその妻、父に見切りをつけ、母の死を覚悟し自分たちだけで生きると覚悟した二人の子どもたちの物語です。今作は作者のメッセージが、かなり…

『閻魔堂沙羅の推理奇譚 金曜日の神隠し』 木元哉多

『閻魔堂沙羅の推理奇譚』シリーズの第6弾。今回は長編です。「母からネグレクトされた挙句、母の犯した殺人のせいで後ろ指をさされてきた律子が、苦心を重ね成功をつかみ取った。だが律子の前に母が現れ、彼女が築き上げてきたものを壊していく」というお話…

『閻魔堂沙羅の推理奇譚 落ちる天使の謎』 木元哉多

『閻魔堂沙羅の推理奇譚』シリーズ5作目です。シリーズ新刊が出たので旧作を読み返してみました。目標を持つことと、真剣に取り組むことの意味を問う1話目、 ヤワな男が自分以外の人のため強くなる2話目、変化球的な展開ながらきっちり論理パズルになってい…

『キラレ×キラレ CUTTHROAT』 森博嗣

Xシリーズ第2弾。満員電車内で起きた連続切り裂き事件被害者の、ミッシングリンクを繋いでいくミステリです。S&Mシリーズの西之園萌絵が登場するのが個人的には嬉しい。満員電車の異常さが改めて認識させられました。最近は少しマシになっているのかな。。 …

『閻魔堂沙羅の推理奇譚 点と線の推理ゲーム』 木元哉多

『閻魔堂沙羅』シリーズ第4作です。 新刊が出たので過去作を再読。閻魔大王代理 沙羅の「犯人が分かったら生き返らせてあげる」という推理ゲームに挑む死者たちの挑戦を描く短編集です。最初はしつこいと感じたマンネリ展開にも、4作目になると様式美を感じ…

『イナイ×イナイ PEEKABOO』 森博嗣

森博嗣さんのXシリーズに手を出してみました。森さんの作品群は大体繋がっていて一大サーガになっているようです。私は S&M→四季→W→Xと大分変則的に読んでいるのですが、森ワールドを味わい尽くすなら出版順に楽しんだ方が良さそうですね。・S&Mシリーズ・V…

『除妖師II』 如月恭介

新興宗教とドラッグを使い勢力を強めていく妖術師たちと戦う「除妖師」たちの物語です。「除妖師」に続くシリーズ第2弾なので、前作から順番に読むことをお勧めします。 ミステリ的な頭脳戦から始まり、徐々に大規模な能力バトルに展開していくストーリーが…

『折れた竜骨』 米澤穂信

12世紀のヨーロッパを舞台にしたミステリファンタジーです。記憶を操る魔法や姿を消す魔法があるファンタジーの世界でも、「何でもあり」じゃなくルールが定められていれば、謎解きミステリ成り立つんですね。現実世界のような曖昧さがない分、ある意味純粋…

『三毛猫ホームズの恐怖館』 赤川次郎

「三毛猫ホームズ」シリーズで長編としては第6弾です。 今回は高校を舞台にした物語。いくつもの事件で張られた伏線が、ラストの「劇中劇」で回収されていくのが爽快です。 それにしても、1982年当時の高校生って、こんなにフリーダムだったんですかね。。 …

『キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~』斜線堂 有紀

「キネマ探偵カレイドミステリー」シリーズ3冊目。本書でシリーズ完結です。 映画好きの引きこもり嗄井戸と、友人の奈緒崎の、ユルいけど熱い友情がいい感じです。雰囲気を表現した表紙イラストが秀逸だと思う。大学時代に戻りたくなります。本書ではシリー…

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