毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『18禁日記』 二宮敦人

日記や手紙、ブログ記事などを通して、徐々に狂気に陥っていく人々を描く連作短編集です。何より怖いのは「普通と狂気の境界」が見えないことでしょう。ごく普通の常識的な人間が、いつしか狂気にとらわれる。「狂気の入り口はいたるところに開かれている」…

『ゲーミフィケーション ―<ゲーム>がビジネスを変える』 井上 明人

「ゲーミフィケーション」が急拡大しているのはなぜか。どのすればビジネスに活かすことができるのか解説する本です。 「ゲーミフィケーション」とは、ビジネスの課題などにゲームの要素を取り入れて、自発的継続的に取り組んでもらう手法です。例えば政治家…

『ミシェル・フーコー ――近代を裏から読む』 重田園江

ミシェル・フーコー「監獄の誕生」の解説です。中世以前は、身体を痛めつける身体刑が公開処刑の形で行われていたのに対し、近代以降、一般人から隔離された場所で自由を拘束する「自由刑」が主流となったのはどうしてなのか、という視点から近代を読み解い…

『恋に至る病』 斜線堂有紀

人の心を操り壊していく少女の物語です。 東野圭吾さんの『白夜行』とか「悪女好き」な私にはどストライクでした。(あくまでフィクションでの話です)著者はあとがきで「主人公の少女は、誰一人として愛さなかった化物なのか、ただ一人だけは愛した化物なの…

『綾志別町役場妖怪課 すべては雪の夜のこと』青柳 碧人

『朧月市役所 妖怪課』シリーズ完結編。 日本の妖怪を集め隔離された「朧月市」から、ロシア妖怪を押し付けられた「綾志別町」に舞台が移っています。朧月市には外に出ると記憶が消される結界が張られていた。主人公の宵原秀也は朧月市を離れるとき、恋人の…

『超雑談力 人づきあいがラクになる 誰とでも信頼関係が築ける』 五百田達成

「雑談は仲良くなるための手段」と割り切って、感情のやり取りに特化する方法を解説しています。 そういう視点であれば雑談では、有益な情報も、論理的な構成も、善悪の判断も不要だ。話の勢いを削ぐし共感が生まれにくいから、むしろ邪魔だという主張です。…

『追想五断章』 米澤穂信

「死んだ父の書いた小説を探して欲しい」という依頼を受けた古書店員が、背景にある事件の真相に徐々に迫っていくお話です。5編の作中作と、一つの事件を重ね合わせる複雑なプロットを、分かりやすくサクッとまとめる筆力はすさまじいと思わされます。。キャ…

『一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常』 二宮敦人

蛍川鉄道で働く鉄道員たちと、就職活動中の大学生の物語が重なっていきます。二宮敦人さんの「お仕事ミステリ」は大好きです。 病院を舞台にした『最後の医者は桜を見上げて想う』シリーズなどは涙なくして読めない傑作です。けれども、作者はもっと「地味」…

『綾志別町役場妖怪課 暗闇コサックダンス』 青柳 碧人

『朧月市役所妖怪課』シリーズの続編です。舞台を朧月市から、北海道綾志別町に変え、主人公の宵原秀也が活躍します。朧月市が「日本中の妖怪を集め隔離した場所」だったのに対し、綾志別町は「ロシアにいた妖怪を受け入れて隔離した町」という設定です。青…

『3分間コーチ ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術』 伊藤守

部下と上司のコミュニケーション不全を解決する「三分間コーチ」を提唱する本です。著者は「部下と話す時間」「部下について考える時間」を取ることが大切だと言います。「三分間コーチ」では、短時間でも高頻度で語り掛け、命令ではなく相手の自律的行動の…

『月に吠えろ! 萩原朔太郎の事件簿』 鯨統一郎

「萩原朔太郎が名探偵」という設定からぶっ飛んでます。 室生犀星がワトソン役なのも何だか笑える。大正から昭和初期の文壇を舞台に、実話とフィクションが入り混じった不思議な雰囲気でした。朔太郎の探偵スタイルは独特で、事件から「詩」を読み取り、そこ…

『朧月市役所妖怪課 妖怪どもが夢のあと』

『朧月市役所妖怪課 河童コロッケ』『朧月市役所妖怪課 号泣箱女』に続くシリーズ完結編です。妖怪と人間が共存する朧月市の「妖怪課」の面々が活躍します。 前作までは謎解きミステリに重点がありましたが、最終巻では「ラスボスとの決戦」に向けて盛り上が…

『ロジカル・ライティング―論理的にわかりやすく書くスキル BEST SOLUTION―LOGICAL COMMUNICATION SKILL TRAINING』 照屋 華子

論理的で分かりやすい、読み手に「解読」を求めないビジネス文書の書き方指南です。 実際のビジネスでは「解読」能力の高さの方が大事だったりもしますね。本書のポイントを超簡潔にまとめると、・結論と論拠、事例の関係が So What?/Why So?(ならどうな…

『朧月市役所妖怪課 号泣箱女』 青柳 碧人

『朧月市役所妖怪課 河童コロッケ』に続くシリーズ第2弾。 かつて日本中に存在した妖怪が集められ隔離された朧月市で、妖怪と人とのトラブル解決に奔走する市役所「妖怪課」のお話です。軽く読める「妖怪ファンタジー+ミステリ +お仕事小説」ですが、公務…

『GOTH番外篇 森野は記念写真を撮りに行くの巻』 乙一

『GOTH 夜の章』『GOTH 僕の章』にに続くGOTHシリーズ番外編です。写真集に添えららた書下ろしを独立した小説として出版したもの。森野夜と「僕」についての説明がないので、この話から読んでも理解できません。順番に読むことをお勧めします。写真集のため…

『Another』 綾辻行人

26年前の事件から始まった三年三組の災厄を巡る学園ホラーミステリです。ホラーとミステリの組み合わせは相性がいいですね。 傑作も多い。追いつめられる怖さに、謎解きの緊迫感が重なって生み出される、独特な雰囲気が私も好きです。一方、難しさもあると感…

『GOTH 僕の章』 乙一

サイコパス気味な「僕」と、死体や猟奇事件に興味を持つ森野夜、二人が関わった事件を綴る短編小説集です。 前編の『GOTH 夜の章』では、森野夜が抱えている物語が解き明かされていきます。本書は「僕の章」で、「僕」に焦点が当てられています。最終話の「…

『GOTH 夜の章』 乙一

サイコパス的な酷薄さを持つ「僕」と、ネクロフィリア的性向を持ち誰にも心を開かない「森野夜」の物語です。 グロテスクな描写もあって陰惨な印象ですが、グロ表現が苦手な私でもページをめくる手が止まりませんでした。「夜の章」と題する本書では、森野夜…

『朧月市役所妖怪課 河童コロッケ』 青柳碧人

公務員のお役所仕事に憤る「お仕事小説」であり、妖怪と人間が共存する生活を描くファンタジーであり、謎解きミステリでもあるお話です。日本中にいた妖怪は排除され「妖怪と人間が共存するかつての日本の原風景」が残るのは朧月市だけになってしまったとい…

『ヨーロッパ近代史』 君塚直隆

ルネッサンスから第一次世界大戦まで、「宗教と科学」の視点から近代ヨーロッパの歴史を解説します。コロンブス以前のヨーロッパ人も「平らな地球の周りを太陽が回っている」という天動説を本気で信じていたわけじゃなく、キリスト教の縛りで地動説を公言で…

『ZOO 2』 乙一

ホラーから、本格的なトリックの仕込まれたミステリ、コメディ色の強い話まで、幅広い内容の短編集です。乙一さんのホラーは、淡々とした心理描写で主人公の「内面的な欠損」が感じられます。胸糞悪い残酷さもあるけれど、怖さより「やりきれない切なさ」が…

『お江戸、ほろり 神田もののけ人情語り』 高橋由太

ぽんぽこと白額虎、二匹の妖怪が江戸の町を舞台に活躍する「人情語り」です。ぽんぽこたちが、とにかく可愛い! 玉子焼きに釣られ、「小判の使い方を知っている猫」には手玉に取られ、巨大な敵からは逃げ出してしまうけれど、その分、人の弱さを受け入れる柔…

『アムステルダム運河殺人事件』 松本清張

実際の事件をベースにした「アムステルダム運河殺人事件」と、ゴルフ発祥の地を舞台とした「セント・アンドリュースの事件」、ヨーロッパを舞台とした2つの中編ミステリがおさめられています。50年くらい前に書かれた小説で日本の情景を見ると、街の風景も人…

『残酷な進化論 なぜ私たちは「不完全」なのか』 更科 功

・中途半端な「目」は役に立たない。・例えば網膜だけがあっても生存競争上有利にならない。・でも、これだけ複雑な器官が偶然一気にできたとは考えられない。 やっぱり「設計者」がいたんじゃね?という「インテリジェントデザイン」に説得力があると感じて…

『星やどりの声』 朝井リョウ

偉大だった父が亡くなって数年。父が残した「家族の絆」とともに暮らしてく三男三女の物語です。どんなに幸せな家族でも、時間が経てばステージが変わります。死んでしまった父親はもう変わることができないから、子供たちの背中をそっと押すために奇跡を贈…

『ZOO 1』 乙一

ホラーからSF、ミステリ要素もある、さまざまな作風の短編集です。 設計者が自分を埋葬するために作った少女型ロボットが「心」を学び取っていく話「陽だまりの詩(シ)」が一番好きでした。ホラー寄りの話も「何かが欠損している」人たちの行動は不気味で怖い…

『横浜殺人事件』 内田康夫

真面目な会社員の変死と、テレビレポーターの殺人。童謡「赤い靴」からヒントを得て、無関係に見えた二つの事件が重なっていきます。 完成度の高いプロットでミステリとして面白かったのですが、それ以上に描かれた横浜の風景に惹かれました。今から30年以上…

『除妖師』 如月恭介

美人社長の除妖師、Sッ気の強いキャリアウーマン、頭でっかちなクズ男たちが、巨大な敵と対峙する、オカルトファンタジー×近未来SF。 著者の作品では作りこんだ設定のSFである『エンジェル』や、メッセージ性の強い『ハンター』などが好きでしたが、コメディ…

『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』 三宅香帆

読んだ人に「面白い」と感じてもらえる文章の工夫を紹介しています。文章の達人たちの小説やエッセイなどを引用し、「どうして引き込まれるのか」 「なぜ面白いと感じるのか」を分析しています。私などは、何か読んでいても「あー、面白かった!」で流しちゃ…

『神話の密室―天久鷹央の事件カルテ―』 知念実希人

天久鷹央シリーズ最新刊! このシリーズは、知念実希人さんの数ある作品群の中でも、一番正統な「医療ミステリ」だと思う。単に病院を舞台としたミステリというわけではなく、病気や薬などの知識を、ミステリの鍵としてガッツリ組み込んでいる。それでいて素…

当ブログは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムであ「Amazonアソシエイト・プログラム」に参加しています。