『どこかでベートーヴェン』 中山七里
岬洋介シリーズ第4弾!
岬の高校時代を描く「エピソード・ゼロ」的な位置づけです。
前作『いつまでもショパン』は、音楽描写が圧巻で「音楽自体の力」に焦点を当てた作品でしたが、今回はミステリ側に振り戻したうえで「才能」の問題に踏み込んでいます。
「特定の才能を必要とする世界で成功するのはバケモノだけ」、「見当違いの努力は努力じゃない。頑張っているという言い訳にしかならない」と手厳しい。
だから「足掻いて足掻いて、自分の闘える戦場を探す」べきなのだといい、
そして「捨て去る勇気がなければ、何もかもを背負って身動きが取れなくなる。選択する、諦める勇気が結局は可能性を拡げるんだ」といいます。
高校生の頃は何にでもなれるような気がしていました。
実際、今でも「何かを諦めること」は「可能性を捨て自由を狭めること」だと感じていて、中途半端でもできるだけ多くの可能性にしがみつこうとしいます。
でもやっぱり何かを成し遂げるためには選択と集中が必要。
「断つことを決める」という意味での「決断」が必要なのでしょう。
ガッツリ重たい話でした。
リンク先にあらすじと感想を上げました。