『Another』 綾辻行人
26年前の事件から始まった三年三組の災厄を巡る学園ホラーミステリです。
ホラーとミステリの組み合わせは相性がいいですね。 傑作も多い。
追いつめられる怖さに、謎解きの緊迫感が重なって生み出される、独特な雰囲気が私も好きです。
一方、難しさもあると感じます。
オカルト的な超常現象があると、論理的なミステリは成り立たなくなる。壁抜け能力者のいる世界で、密室トリックは成立しません。
オカルト内のルールがあっても、ご都合主義感が出てしまうと、スッキリとした解決にはなりにくい。
まあ、本書はさすが綾辻さん、ホラー-オカルトの要素を詰め込みながら、しっかりミステリとしても成立させています。
「記憶や記録が改ざんされる」という、論理的な推理を全否定するような設定がありながら、ルールをよく見て考えると「信頼できる発言」が浮かび上がってくる。
そこを鍵に周辺の伏線に気づくことができれば、推理が成り立つ。
リンク先にあらすじと考察を上げています。
核心部分は避けていますが、ネタバレを含むので未読の方はご注意ください。