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『それでもデミアンは一人なのか? Still Does Demian Have Only One Brain?』 森博嗣

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人間ではないもの、人間が作ったものが、

人間以上に人間らしくなり、

人間以上に正しく生きる世の中が来る。

きっと来るだろう。

否、もう来ているのかもしれない。

 

タイトル:それでもデミアンは一人なのか? Still Does Demian Have Only One Brain?

作者  :森 博嗣

オススメ度

 近未来SF     ★★★★☆

 人間とは何か   ★★★★☆

 知能とは何か   ★★★★☆

 総合オススメ度  ★★★★☆

 

あらすじ

Wシリーズ完結後の世界を描く WWシリーズ。設定や人物関係が複雑なので、Wシリーズの後に読むのがオススメ。

 

グアトとロジが暮らすドイツの家に、デミアンと名乗る者が訪れた。デミアンは「ロイディという名のロボットを探している」という。その直後、何者かに襲撃されたデミアンだったが、返り討ちにして去ってしまった。

やがてドイツ情報局の情報で、デミアンは戦闘タイプのウォーカロン(人造人間)であることが明かされる。

 

ロイディは、マガタ・シキの娘 マガタ・ミチルのクローンである サエバ・ミチルの脳を移植されたウォーカロンだった。ロイディは自分の脳以外にもう一つの脳を内蔵し、他の人間(ロボット?)を操作する機能を有していた。

 

ヴァーチャル世界でグアトと会ったマガタ・シキは「デミアンのルーツはロイディで、自分のルーツを知りたいのだろう」と言う。グアトはデミアンにも外部脳が繋がっているのかもしれないと考えた。

 

頭脳を二つ持つ存在は、お互いに独立した人格を形成するのか、融合してひとりの人格になるのか。普通に考えれば一つの身体が二つの脳を持つことにはデメリットの方が多いと思われる。

 

その後、デミアンはチベットのナクチュ区長 カンマパの元にも訪れ、そこでかつて冷蔵保存されていた人間「王子」がどこに行ったのか知りたいと尋ねたという。

 

やがてデミアンは「王子」が日本にいることを突き止め奪いに来た。警察の裏をかき、デミアンは王子を持ち去る。かつて、王子を「殺し」た大富豪のモレルが滞在するミヤケ島に、グアトたちは向かう。

そこで語られた話を聞き、グアトはデミアンの「ルーツ」に思いを至らせる。

 

 

感想・考察

 

「Wシリーズは10作で完結っていっちゃったから、一応別シリーズにするか」というノリだろうか。完全にWシリーズの人間関係や設定を引き継いでいる。意図的なミスリードでなければ、ウグイ→ロジ、ハギリ→グアト、サリノ→セリン ということだろう。

 

Wシリーズで練りこまれた設定から、さらに風呂敷を広げられた感じだ。

死を克服したなら人間の感性はどのようになるのか。

そもそも生殖というのがエラーなのではないか。

生殖のない世界で、男女の愛はどのような形をとるのか。

有機的な人型ロボットと人間の境界はどこにあるのか。

人工知能に対し、人間の発想の飛躍は優位性を保てるのか。

ネットワークに分散する人工知能というのがあり得るのではないか。

 

壮大な展開だが、現在の科学技術をベースになっていて違和感なく受け止められる。近未来世界のイメージを広げられるのが楽しい。

 

でも、そろそろ風呂敷をたたみ始めてくれないと、ついていくのが大変だ。。

 

 

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