毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

『図書館の殺人』 青崎有吾

 

体育館の殺人」「水族館の殺人」「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」に続く、裏染シリーズ代4弾です。

物語のリアリティとかを求めるのではなく、純粋な論理パズルとして楽しむ作品です。

ミステリでは王道ネタのダイイングメッセージも「書かれた意図はどうとでも解釈できる」として、内容自体は一切無視しながら物理的な効果だけに着目しているのが面白いですね。

 

タイトル

図書館の殺人 裏染シリーズ

 

作者

青崎有吾

 

あらすじ・概要

風ヶ丘高校の試験期間、図書委員長の城峰有紗は図書館で従兄の城峰恭介と会い話をする。

翌朝、早番の図書館職員が出勤したときに、1階の貸し出しカウンターに血痕を見つけ、2階の書棚脇で城峰恭介が殺されているのを見つけた。

恭介は分厚い本で頭を強打され死んでいた。また血で「く」の字を残し、もう一つ本の表紙の登場人物に丸印をつけていた。丸印で囲まれた登場人物の名が、図書館司書で「く」から始まる「久我山」だったことから、警察は彼を疑うが、アドバイザーとして呼ばれた裏染は「ダイイングメッセージなど、どうにでも解釈できる」として無視し、残された証拠から犯人の行動を辿ろうとする。

 

感想・考察

裏染シリーズも4作目になり、登場人物のキャラクタもだいぶ固まってきた。徹底した論理パズルになっているミステリとしての展開と、キャラクタ小説としての軽妙さがバランス良く楽しい。

謎解き前の段階では裏染の思考過程は見えず、結果だけ示されるので、ホームズが言うように「驚かせる効果」がある。

そして「読者への挑戦」を挟んだ後に「犯人の条件」「犯人ではありえない条件」をから容疑者を絞り込んでいく思考過程を綿密に描く。その一方で犯行動機やダイイングメッセージの意図など、主観的な条件は極力排除している。

もちろん、どれだけ客観的な論理展開に徹しようとしても「どの部分を拾うか」は作者が任意に選べるし、純粋に客観的とは言えないのは哲学論議と同じだが、作者の意図をメタ的にも拾いながら楽しむことができる。

パズラーはルールに則ったファンタジーともいえる。

最後に提示された「裏染本人に纏わるミステリ 」の話も気になるところ。次回作に期待。 

 

 

当ブログは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムであ「Amazonアソシエイト・プログラム」に参加しています。