毎日一冊! Kennie の読書日記

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『ふたりの距離の概算』 米澤穂信

「古典部シリーズ」の5作目です。

前作「遠まわりする雛」から、奉太郎の省エネな生き方が少しずつ変化しているようです。特に える との距離感が大分変わってきているようです。

 

タイトル

ふたりの距離の概算

 

作者

米澤穂信

 

あらすじ・概要

えるや奉太郎たちの高校2年生5月末の話。

4月に古典部の新人勧誘で仮入部した大日向友子が正式入部直前に辞退してきた。えるは大日向が入部を取りやめたのが自分のせいだと落ち込む。

入部申し込み期限直前のマラソン大会の日、奉太郎は20kmを走りながら過去の出来事から推理し、走りながら里志や伊原、えると話して、大日向が入部を取りやめた理由を推理する。

 

新人勧誘の日のこと、奉太郎の誕生日に家に集まった時のこと、大日向の従兄弟がオープンする喫茶店に行った時のこと、そして大日向がえるに入部しない意思を告げた前日のこと、それぞれの場面で大日向の思いを読み解く鍵が隠されていた。

 

奉太郎は最後に大日向と一緒にマラソンコースから抜け出し、彼女の隠そうとした過去を読み解いていく。

 

感想・考察

「ふたりの距離の概算」というタイトルはなかなか面白い。

マラソンを走りながら、里志、伊原、える、大日向たちとすれ違うための距離を測り工夫していく。そしてそれは奉太郎が人との距離の取り方を変えようとしている姿にも重なる。

また前作の「遠まわりする雛」のあたりから、えると奉太郎の距離がずいぶん詰まってきている。奉太郎の「省エネ主義」という言葉でカモフラージュされた対人関係の萎縮をえるが溶かし、えるの不器用さを奉太郎が支えている。いい感じのカップルでちょっとラブコメ風になってきたようにも感じる。

 

謎解きとしてみると、バラバラに語られるエピソードの一つ一つに巧妙な伏線が張られているのはさすがだ。しっかりミステリになっている。

続きが気になります。

 

 

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