『大人の語彙力大全』 齋藤 孝
「語彙」を広げるための本ですが、知っている言葉がほとんどで新しい発見はほぼありませんでした。正直「何をいまさら・・」というレベルです。
とはいえ知っていることと使えることは違うので、意識して使えば言い回しのバリエーションを増やすことはできそうです。
「慙愧の念」、「忸怩たる思い」とか、格好いい謝罪を追求してみます。
タイトル
大人の語彙力大全
作者
齋藤 孝
あらすじ・概要
「語彙力こそが教養」という考えから、社会人として必要な語彙の範囲としてセレクトしている。
・基本語彙
「善処」「やぶさかでない」など基本的な語彙。
・敬語
「寛恕」「幸甚」など基本的な敬語の語彙。読んで理解できても自分が使うときは出てこない言葉も多い。
・言い訳
「猛省」など謝罪や断りなどで使える言い回し語彙。基本的なものだけだが、意識すれば謝罪のバリエーションは増やせそう。
・頻出カタカナ語
「リテラシー」「イノベーション」など。
・ビジネス用語
「フレキシブル」「ストラテジー」など。
・漱石語
夏目漱石の文章から「あにはからんや」「いわんや〜をや」など、漢文読み下してきな表現や、「懸想する」「情に掉さす」など現代ではあまり使われない語彙を紹介。こういう言い回しを日常で使えれば面白いと思う。
感想・考察
基本用語や、ビジネス用語で知らない語彙はなかった。私と同年代で同じような境遇にいる人にとっては「何をいまさら」というレベルの内容だと思われる。知らなければ「アウト」な語彙を集めているということなので、基礎の確認という主旨なのだろう。
一方「文化とは語彙の共有がベースになっている」という前提に立つのであれば、自分が当たり前だと思っていることでも、世代や環境を超えて共有されているのかは分からない。敢えて発信してみる意義はあるのだと思う。
言語は生き物で日々変わっていくのが当たり前だが、知識や経験の共有がなければ「文化」が形成されない。共有できていると思い込みがちなところは、慎重に確認してく必要があるのかもしれない。著者も多様な人と触れていく中でそう感じたのだろう。
「漱石語」の部分は面白かった。こちらも知らない語彙はなかったが、日常では使わない言い回しが新鮮で、敢えて使ってみるのも面白いかなと思える。