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『コーチングのプロが教える 「また話したい」と思ってもらえる会話術』 滝井いづみ

著者のコーチングでの経験を活かして、「いい人会話」の実践を提唱しています。

コミュニケーションには色々な目的がありますが、本書はまず日常会話のレベルで相手と良い関係を築き、この人と話をしたいと感じてもらう方法を語っています。

 

タイトル

コーチングのプロが教える 「また話したい」と思ってもらえる会話術

 

作者

滝井いづみ

 

あらすじ・概要

1.好感度を上げる会話とは

  • 相手がに気持ちよく語ってもらう会話術「いい人会話」

 「いい人会話」は相手のための会話術。基本的には「聞く側」に回り、相手が思考を整理しアウトプットすることを助ける。

人は根本的に親和欲求を持っており「話を聞いてもらえた」だけでも「自己重要感」を持つことができる

相手の思考の整理を助け、親和欲求を満たすのが「いい人会話」

 

  • 日常会話のブラッシュアップ

意識して日常会話に、未来について考えるなど「質の良い会話」を混ぜ、「考える機会」を増やす。その場で結論を出そうとはせず考えるきっかけになればいい。

 

  • 相手が元気になるメカニズム

アウトプットで思考が明確化し、自分で気づくことができる。自分で気づくと「やらされ感」のない行動が生まれる。

話を聞く側が「こうしなさい」という指示をすると相手は自分で考えなくなる。

 

  • 「いい人会話」のマインド

普段近くにいる人が「いい人会話」を意識し話を聞いてくれるなら、プロから数セッションのコーチングを受けるよりも大きな効果がある。

「いい人会話」は相手へのギフトであり相手への愛情と信頼がベースになる。相手をコントロールしよう、優位に立とう、という思いは必ず見抜かれてしまう。

 

2.相手が話してくれる聞き方

  • あなたは話しやすい人か

話を横取りしたり、アドバイスされたり、根掘り葉掘り聞かれたり、相手を誘導しようとしたり、毎回重い会話をしたりすると「話しにくい人」として避けられてしまう。次に自分が話すことを考えながら聞いたり、前のめりに聞き出そうとしてしまったり、自分の言葉に言い換えたり、自分の価値観に照らして話を聞いたり、話に結論を求めるのも良くない。

 

まず「コミュニケーションは質より量」なので頻度を増やし、安心して話してもらうベースを作ることが大事。

 

  • 傾聴

深く聴くことを心がける。

ポジティブ/ネガティブ、自責/他責。近視眼/俯瞰 など相手の傾向を把握することは役に立つが、先入観にも繋がるので注意が必要。

逆に「相手の思い込み」をポジティブな言葉で言い換え、認識を変える「リフレーミング」は有効。

 

  • 聞き上手のポイント

座る位置は90度がベスト。それが難しくてもパーソナルスペースを侵さないように気を付ける。適切な相槌は会話に必要。会話のペースや声のトーンも相手に合わせると良い。沈黙を恐れず相手に考える時間を与えた方が良い。

話題をヨコに広げる「それから?」と、タテに深める「それはどういうこと?」という方向性がある。「いい人会話」ではヨコへ広げるのがメインだが時にはタテに深める質問をしてみても良い。

 

  • 聞く能力を上げるために

まずは相手への関心度を上げる。ジェスチャや目線など言語外のメッセージにも気づくことができるようになり、言葉とは違う本音に気づくことに繋がる。

アドバイスは必要ない。「答えは相手の中にある」というのが大前提。

自分の「フィルター」はかけない。実際には難しいが「自分の判断のフィルタが有る」ことを認識するだけでも違う。

時には自分でもプロのコーチングを利用するなど「聞いてもらう」ことの快感を味わうのも有効。

 

3.相手が満足してくれる受け止め方

  • 「話を聞いてもらえた」と思われるコツ

人には承認欲求がある。自分の価値観と違う相手の意見を「受け入れる」必要はないが、「受け止める」ことで相手は承認されたと感じることができる。

 

  • 受け止めたことを伝える言い回し 

頷きや、相手の言葉を繰り返すリフレインは「伝わってますよ」というメッセージになる。

 

  • 相手にフィードバックする場合

「いい人会話」では相手の良い面を探して返す。仕事などでは悪い点を指摘する必要もあるが、専門的なフィードバックのスキルを学ぶ必要がある。

相手の良いところを見つけ、相手を主語にしたYouメッセージでなく、私がどう感じたかを伝える Iメッセージとして、その良い点を伝える。

 

 

4.相手が考えてくれる質問の仕方

  • 良い質問で相手に気づきが生まれる

言語化して初めて自分の思いに気が付くこともある。コーチングの質問は相手に気づきを促すための質問。

 

  • ついやりがちな質問

言葉の選び方で責める感じになると、相手は防御的になってしまう。

「何でそんなことをしたんだ?」では「あなたは何故そうしたのか」と個人を責める質問と取られてしまうが、「何が原因でそうなったんだ?」であれば外的な原因を追究していることになる。

日常会話では必ずしも相手の質問に答える義務はない。答えを強要するのは良くない。また回答を予測してコントロールするような質問も良くない。

いきなり抽象度の高い質問をしても答えにくいので、最初はハイ・イイエで答えられるクローズド・クエスチョンから入るのも良い。

 

  • 「いい人会話」で内側からやる気を喚起する

「答えは相手の中にある」のが大前提。適切な質問で相手の思考を整理し、選択肢を絞ることができれば、相手の自発的な行動につながる。

また普段あまり考えない「未来のこと」について水を向けてあげるのも良い。

日常会話のレベルでは相手の発言に「コミット」を求めてはいけない。軽い気持ちで「やってみようかな」と言えることが大事。

 

5.シーン別「いい人会話例」

  • 「いい人会話」のコツ

一緒にいる時間を楽しみ、相手を信頼し、相手を応援する気持ちを持つことが前提。

 

  • オフィス

忙しいオーラを出さない、話を最後まで聞く、思い込みを持たずに聞く、等を心がけることで相互に自立した動きができるようになる。指示を

 

  • 家庭

家族観では身内ゆえの期待が入りやすく、コーチングはしにくい。相手の自立を促すためには自分の評価を伝えるのではなく「事実の提示+一緒に考える」のが良い。

 

  • 友人、恋人

元気が無い時、決断に悩んでいる時に「いい人会話」が役に立つこともある。

 

 

6.実りの多い日常会話にする工夫

  • 「いい人会話」が難しい時

相手の愚痴などは受け止め続けると疲れてしまう。受け止めつつも自分のこととして受け入れる必要はない。あまりにも愚痴を繰り返す人とは距離をおいても良い。

 

  • アサーティブコミュニケーション

相手もOK、自分もOKというのがアサーティブ・コミュニケーション。

「いい人会話」では聞くことがメインだが、自分の意見を出したいときは「私はこう思う」というIメッセージで伝える。またあくまで選択権は相手にあると認識する。

 

  • 心理学で理解する

本書はアドラーの「自己決定性」をベースにしている。行動は自分で選択できるという考え方。

 

感想・考察

「いい人会話」と聞くと、八方美人的な主体性のない話し方を思い浮かべてしまうが、本書でいうのは「まずは相手の話を受け止め、相手自身の理解・気づきを助ける」という「ギフト」を最初に贈るということだ。

 

コミュニケーションで相手を動かすことはできない。ただ相手に動いてもらうことはできる。

相手に自己重要感を持ってもらい、思考を整理してもらうことで、相手の自発的な行動を呼び起こすのが目的で、その自発的な行動が自分のためになるかどうかを考えない、利他的な会話だ。

 

ビジネスなどでは個人の感情の外にある利害関係が人を動かすことはあるにしても、その根底にあるのはやはり一対一の個人の関係だろう。

 

 

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