毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

『朧月』 八槻翔

八槻翔さんの短編集です。

「オカルトトリック」シリーズが好きなので、続編となる短編が入っているのは嬉しいです!

他にもサイコホラー的な作品や、抑えた感じの恋愛小説など、色々とバリエーションを楽しむことができました。

 

タイトル

 朧月

 

作者

 八槻翔

 

あらすじ・概要

7つの短編集。

サイコホラー、オカルト、恋愛小説、学園ミステリなどが融合した完成度の高い作品群。

 

  •  ペインキラー

中学生になる娘をずっと愛せなかった男の話。

娘の明日香が生まれてからずっと気持ち悪いとしか思えず、頭痛がやまないため鎮痛剤を常用していた。

妻との関係は良好だったが二人目の子供はできなかったため、自分に問題があるのではないかと不妊検査を行ったところ、20年以上前から精巣に機能障害があったことが判明し、明日香は実の娘でない疑いが出てきた。

 

  • 路地裏の王

ホームレスとなった藤五郎は食べ物もなく行き倒れかけていたところ、黒猫に導かれ「交換屋スズメ屋」という辿り着き、饅頭をもらう。

それから藤五郎は財布やコートなどを食べ物と交換していたが、交換できるモノを集めるのにも苦労していた。そこでスズメ屋から身体の「換装」を提案され、本気にしていない藤五郎は酒とラーメンと引き換えに「胃」を差し出した。その後、実際に胃の不調を覚えた藤五郎は胃を返すよう交渉するが受け入れてもらえない。

食べ物に窮した藤五郎は万引きをしたが見つかってしまい、逃げるところを車に轢かれ足に大けがをしてしまう。大出血で瀕死の藤五郎のもとにスズメ屋が現れ足の交換を申し出る。藤五郎の出血は止まり一命をとりとめた、スズメ屋も数日生死をさまよったが何とか回復する。

命を救ってもらった恩はあるものの、結局スズメ屋に胃と足を取られた藤五郎は、第三者も巻き込んで取り戻すことを画策する。 

 

  • 冷感少女

 冷たい雰囲気の女子高生 氷上さんは「レイカンショウジョ」と呼ばれたいた。

夜宮が病院から戻り学校に来た日、氷上は「顔をみたくなかった。戻ってこなければよかったのに」と言われてしまう。

 

  • クロスドミナンス

 右山楓の中には「ひだり子」ちゃんがいた。

私が困った事態に陥ったとき、いつもひだり子が助けてくれていた。会社の仕事に耐えられない私に代わり、出勤時はほぼひだり子が正面に出てくれている。

ひだり子に嫌なことを押し付けることに引け目を感じていた楓は、少しずつ前に出ることを決意するが、出勤時の電車で痴漢に会ってしまう。乗り合わせていた同じ会社の七尾に助けられ何とか乗り切るが深く落ち込んでしまう。

その後、七尾が通勤に付き合ってくれると申し出る。七尾に苦手意識を持つ楓だったが、彼に好意を持つ ひだり子に任せて一緒に通勤することとなった。

 

  • ペンパル~嘘のパーセンテージ

時田は義理の妹の更紗から相談を持ち掛けられる。

更紗は長年男性のフリをして文通をしていたが、相手から会いたいと言われてしまう。そこで更紗は時田に代わりに会って欲しいと頼んだ。

時田は更紗と相手の男が交わした手紙のやり取りを読み、相手との面会に臨む。

 

  • オカルトトリック Suger thr Pill

陰陽師の息子である禅はマジシャンの凛、サイコメトラーの沙耶たちは高校の臨海学校に来ていた。

凛の部屋がポルターガイストに荒らされたり、水泳部顧問の海田先生がドッペルゲンガーをみたりと心霊現象が多発し、海田先生は陰陽師の息子である禅に相談するが、心霊現象とは言い切れない状況だった。

臨海学校最後の夜に行われた肝試しで凛と同室のクラスメート六花が失踪する。翌朝になって海田先生は岩礁まで流された六花を発見した。

六花に何かが憑いたと考えた両親は禅の父にお祓いを頼んだ。

 

  • チェックメイト! ~密室盗難事件

 チェス部の七隈巽に、陸上部の宮田優希が「密室盗難事件」の解決を依頼する。優希の先輩が部室のロッカーに入れいていた陸上用スパイクが何者かに盗まれたが、部室は常に施錠されていて密室状態だった。部室の鍵を管理していた優希にかけられた疑いを晴らすため、巽は密室の謎を解き明かしていく。

 

 

 

感想・考察

やっぱり「オカルトトリック」シリーズは面白い。

マジシャンの視点でオカルト現象の仕掛けを見抜いていくのだけれど、完全に否定しきれない部分を残す匙加減がいい。今作ではお祓いを受ける側の少女の心意気もやたらと格好良かった。

 

「ペンパル」も、抑えた大人の恋愛物語として今までの八槻さんの作風と違う面白さがある。

 

「路地裏の王」のスズメ屋もなかなか良い。

ホームレスとなり「貧すれば鈍する」状態で堕ちていく男に、スズメ屋がかけた「雲外蒼天」という言葉には勇気をもらった。雲の外には青空が広がっているものなのだ。

 

オカルトトリックの続編が読みたい。 

 

 

当ブログは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムであ「Amazonアソシエイト・プログラム」に参加しています。