『本当の勇気は「弱さ」を認めること』 ブレネー・ブラウン
「傷つきやすさ」を持っていることは弱さではない、上手に自分を晒し、自己肯定感をもって生きるのが大事だと説く本です。
タイトル
本当の勇気は「弱さ」を認めること
作者
ブレネー・ブラウン
あらすじ・概要
何が傷つく不安をかきたてるのか。
私たちはどう身を守ろうとしているのか。
「自分のもろさ」とどう向き合えばよいのかを解き明かしていく。
- 傷つきやすさ-ヴァルネラビリティ
傷つきやすさを引き起こすのは「恥」の意識に根ざしたナルシズム。自分はこれで十分だと思えず、「完璧さ」「スリムな体」など、いつも何かが足りないという欠乏感と、平凡であることへの不安感が「恥」を引き起こす。
- 傷つきやすさ-ヴァルネラビリティ-についての誤解
傷つきやすいことは弱さではない。傷つきやすいこと自体は善でも悪でもない。
人は他人がありのままをさらすことは歓迎するが、自分がそうするのは不安。傷つきやすさをさらして真実と向き合うのは心地よいことではないが、勇気ある行為。
どんな人も傷つきやすさから逃れることはできない。生きている限り付きまとわれる。
傷つきやすさを洗いざらいさらけ出せばすべてうまくいくわけでもない。時間をかけた信頼関係に基づくもので、境界線は必要だ。
また「一人でやれる」というのも思い上がりだ。最大の果敢なる挑戦とは、助けを求めることだ。
- 恥を退治する
勇気ある挑戦をするには傷つく可能性を受け入れなければならない。自分の価値を他人の評価に委ねると「恥」が自分の人生を支配する。勇気をもって何かに挑むには、自己肯定感が不可欠。
「恥」とは「私は悪い人間だ」という自分という人間自身の評価で、「罪悪感」は「自分は悪いことをした」という自分の行為に対する評価だ。「罪悪感」をもっても「恥」に囚われてはいけない。
恥に気づきいて、どこに恥のスイッチがあるのかを理解して冷静に分析し、自分の体験として受け止め誰かに話すことで、恥から回復する力を得られる。
- 武器を手放す
傷つくことから身を守るため、人は様々な武器を持つ。
よくある鎧は以下のようなもの。
①喜びのさなかの不吉な予感(先回りして悪いことを考える)
②完璧主義(賞賛の追求に全精力を尽くす)
③感覚のマヒ(痛みを紛らわせ感じないふりをする
自分にとって大切なものを明確にして境界線を引き、楽しみや癒しで魂をいたわることが大事。
感想・考察
著者は「恥=自分自身の否定」と「罪悪感=自分の行為の否定」を区別しているが、日本語で「恥」というときは両方が混在しているように思われる。
自分の行為を是々非々で判断していくことは必要だと思うが、間違ったことをしたからといって「自分自身」への信頼を失ってはいけないのだと思う。
「○○ちゃんは、そんなことして恥ずかしくないの!」というような言葉は、行為を責めているようで人格否定にもつながりかねず、気を付けるべきだ。
また「価値判断を周囲に委ねるのではなく、自分にとって大事なものを明確にすべきだ」という主張には100%同意するのだが、実際にはとても難しい。
善悪の基準にしても様々な欲求にしても、相当部分が社会的なものなのだと思う。自分自身の心から湧き出たものと、周囲の評価への意識は混然としているように感じる。「格好いいと思われたいからギターを弾き始めたけれど、いい音を出せると生理的にも気持ちいいなぁ」というような感じが普通だとも思える。
「自分」を無理に前に出す必要はないが、自己肯定感をもって生きることが大事なのだと思う。
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