カワセミの森で
「山桃寺まえみち」という
「日常系ほのぼのストーリー」の続編なのですが
全く雰囲気の異なるオカルト・ミステリーでした。
【タイトル】
カワセミの森で
【作者】
芦原すなお
【あらすじ・概要】
「山桃寺まえみち」で女子大を休学し、
祖母の居酒屋を預かっていた 桑山ミラ の
高校時代の話。
ミラの通う女子校に、超お嬢様の 深山サギリが 転校してきた。
あまりに自然なお嬢様態度に苛立った、不良グループが
サギリを体育館裏に呼び出し、シメようとしたが
豹変したサギリの返り討ちに会う。
その後、いつものサギリに戻ったが、具合が悪かったため
ミラが彼女を深山家まで送り届け、その常軌を逸した
豪邸っぷりにミラは圧倒される。
そこでミラは、サギリの継母からサギリが
時々二重人格の症状を呈するという話を聞く。
実母がサギリを出産するとき
双子の兄がサギリに圧迫され死んでしまったこと、
また負担の大きいお産で実母も死んでしまったことを
気に病んでのことだろうと、継母は考えていた。
また、サギリの祖母である 宵 から、
深山家の隆盛にまつわる話を聞く。
宵の祖父である深山臀衛門は雷のなる夜に
黒い影のような存在から
「100年間の繁栄とその後の滅亡」を
契約させられたという。
その契約の100年はあと数年で終わり
既に深山家の滅亡が徐々に始まっているという。
やがて夏休みとなりサギリはミラを別荘に誘う。
ミラや 深山家の家族、使用人たちなど十数名が集まった
山奥の別荘で凄惨な連続殺人が発生する。
【感想・考察】
最初の方は、前作「山桃寺まえみち」の雰囲気に近く
学園青春物語風だったが後半からミステリーになっている。
とはいえオカルト色もつよく
理詰めで犯人捜しができる感じではない。
桑山ミラというキャラクターを色々な環境に置いて
化学反応を楽しむシリーズなのだろうか。
「気にしない」が座右の銘で、流されやすく
時に相手を茶化しながら、それでも真摯に向かい合う。
そんなミラが不倫のごたごたに巻き込まれれば
前作の様な雰囲気になるし、
積年の恨みが起こす連続殺人事件に巻き込まれれば
今作のような動きを見せる。
こういうふうにキャラクターが生きているお話は
やっぱり面白いと思う。