毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

読みたいことを、書けばいい。

もろにツボにはまる面白さでした。

知性を感じさせる、回りくどい笑かし方が最高です。

でも内容は結構厳しいし、シャープです。

 

「まず自分がおもしろくなければ、

他人もおもしろくない」

というのはその通りだと思いますね。

自分が面白がって書くことで

初めて面白さを伝えられるのでしょう。

 

 

【タイトル】

読みたいことを、書けばいい。

 

【作者】

田中 泰延

 

【あらすじ・概要】

 

文書と文章は違う

目的達成のため、書きたくて読みたくなくても

必要なのは「文書」で、

書きたい人がいて、読みたい人がいる(かもしれない)

のが「文章」と規定する。

 

随筆とは「事象と心象が交わるところに生まれる文章」

読まれている文章のボリュームゾーンは随筆。

事象寄りなら「報道・ルポタージュ」で

心象寄りなら「創作・フィクション」になる。

 

ターゲットなど想定しない

「たった一人の誰かに手紙を書くように」ならLINEで。

 

誰かが書いているなら読み手でいればいい

「私の言いたいことを書いている人がいない、じゃあ書くか」

誰かが書いているならわざわざ書く必要はなく読んでいればいい。

 

何を書いたかより誰が書いたか

「あなたがローマ帝国1480年の歴史」に興味を持ち

丹念に資料を調べ、エキサイティングに感じたことを

面白いウンチクやギャグをちりばめた文章にして

ネットに載せても数十人しか読まない。

芸能人の「美味しかったロースかつて移植840円」に負ける。

評価されることへのこだわりを捨てて自分自身で楽しむことで

かえって広がっていく。

 

内面を語るだけの人はつまらない

最終的には「心象」を述べる随筆であっても

「事象」の強度がないと興味を持ってもらえない。

 

物書きは「調べる」が99.53%

ストーリーには原型があり下敷きがあり

模倣があり、引用がある。

まず調べ、9割を捨て、残った1割の中の1割に

「私はこう思う」を入れるくらいでいい。

調べたことを並べれば、読む人が主役になれる。

 

一次資料に当たる

ネットの情報はほとんどがまた聞き。

価値があるのは一次資料。

図書館を利用しよう。

 

巨人の肩に乗る

ネットに溢れる恋愛に関する人間模様やオピニオンは

百数十年前に漱石がほとんどやってる。

「ここまでは自明ですね、なのでこの先の話をします」

という姿勢でなければ意味がない。

 

対象を愛し敬意を持つ

とにかく対象に愛せる部分を探して語る。

批評の場合でもダメ出しに情熱を傾けるのでなく

敬意を失わずに書く。

 

起承転結でいい

起:実際の経験だという前置き(発見)

承:具体的な出来事(帰納)

転:その意味は何か(演繹)

結:ちょっとだけ感想と提言(詠嘆)

 

通貨と言語の共通性

・決済手段-価値交換手段としての機能

・価値尺度としての機能

・価値貯蔵手段としての機能

お金と同じく価値のやり取りができ

言葉の定義で価値をはかり

言葉によって情報を保存する。

経済も言葉もゼロサムではない。

書いたら増える。

 

【感想・考察】

書く段階で見せること意識してしまうと 

実力以上にカッコよく見せようとか

バカにされないようにしようとか考えてしまう。

文章の勢いが殺されてしまうかもしれない。

 

とはいえ、自分の内面を押し出すだけでは

他人から見るとつまらない。

 

対象となる「事象」に愛情を抱いて

しっかり調べ、

最後に少し自分の「心象」を加えるくらいでいい。

 

などと書きつつ、著者の「心象」ダダ洩れになっている

本書の構造的ギャグが面白い。 

 

 

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