毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

車輪の下で

前途洋々たる若者が、

徐々に救いのない悲惨さに落ち込んでいく

相当暗い話でした。

 

ストーリー自体は単純ですが

田舎町の自然や、神学校での生活、

ジュース絞りや機械工としての仕事など

繊細な情景描写を通して

少年が大人になる時期の鮮やかな感性と

そこから生まれる息苦しさを描いています。

 

 

【タイトル】

車輪の下で

 

【作者】

ヘルマン・ヘッセ

 

【あらすじ・概要】

ハンス・ギーベンラントは秀才だった。

大好きだった釣りも、友達と遊ぶこともやめ

父や校長や牧師たちの期待を受け、勉学に励み、

州試験に第2位の成績で合格し神学校に入学する。

 

合格が決まった休み期間にも、勉強を強要する

校長や牧師たちに、靴屋職人のフレイクは

「子供には休む時間が必要だ」と憤る。

 

ハンスは神学校でも主席を狙って勉学に励むが

寮友の死を経験し、奔放なヘルマン・ハイルナーとの

交流を重ねるうち、勉強に集中することができなくなる。

 

ハイルナーが神学校を脱走した後、

ハンスは精神を病み、退学して田舎に戻っていった。

フレイクの姪エンマと出会い恋に落ちるが

彼女は別れの言葉もなく去り失恋してしまう。

 

やがてハンスは機械工として働き始める。

かつては見下していた仕事ではあったが

モノを作ることの素晴らしさを感じていた。

 

同僚に誘われ、飲んではしゃいだ夜の翌朝、

泥酔したハンスは川に流された死体となって発見される。

 

ハンスの葬式で、フレイクはハンスの父に

「学校がハンスを殺したようなものだ」と言う。

 

 

【感想・考察】

なんとも救いのない話だった。

勤勉さを求める学校が、若者の感受性を潰してしまう。

自然を好み、釣りを楽しんでいた少年が

何も感じられなくなってしまう。

 

心に余裕がなくなると、それまで楽しかったことに

何も感じなくなってしまうことがある。

心には弾力性があって、柔らかさを取り戻すことはできるが

感受性を育てるべき子供時代に

十分な経験をすることができないと

心が硬くなってしまうのかもしれない。

 

たまには自然の中で、ぼーっとする休むことにしよう。

 

 

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