毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

レジまでの推理~本屋さんの名探偵~

本屋さんを舞台にした「日常系ミステリ」です。

大崎梢さんの「成風堂シリーズ」などもそうですが

作者さんの「書店愛」の強さをヒシヒシと感じます。

まあ私も本屋さんは大好きです。

本を探すのはやっぱり本屋さんが一番楽しい。

 

 

【タイトル】

レジまでの推理~本屋さんの名探偵~

 

【作者】

似鳥 鶏

 

【あらすじ・概要】

本屋さんを舞台とした日常系ミステリの短編集。

あんまり働かない店長さんの推理力が冴える。

 

7冊で海を超えられる

書店でアルバイトする青井君は訪れた男性客に

彼女から送られた7冊の本に込められた意味を

教えてほしいと頼まれる。

 

その男性客は海外留学することを直前になって

彼女に伝えたため、口も聞いてもらえない状況だったが

出発の2日前になって7冊の本が

その彼女から送られてきた。

 

彼女は何を伝えようとしたのか?

だらけた店長が鋭い推理をみせる。

 

全てはエアコンのために

ライトノベル作家「蓮見喬」の友人である男性が

引越しの時にサイン入りの初版本を盗まれた。

唯一盗むチャンスがあったのは

引越しを手伝った友人の池部だけだったため

池部のバイト先である書店に訪れた。

 

その日池部は不在だったが、

男も本を持ち出した方法が分からず

普段から本を扱っている書店員たちから

知恵を借りようとした。

 

池部はどうやって本を持ち出したのか?

 

通常業務探偵団

サイン本持ち出し事件解決のおかげで

ライトノベル作家「蓮見喬」のサイン会が開催された。

サイン会の終了後、サイン入りポスターを店頭に貼っていたが

翌日の朝、ポスターに落書きされていることが見つかる。

 

防犯カメラを見たところ、深夜の3時ごろ

車のライトに照らされた時にはまだ落書きはなく

その後は朝まで誰も、ポスターに近づいていないのに

朝一番にはすでに落書きされていた。

 

誰が何の目的でポスターに落書きをしたのだろうか。

 

本屋さんよ永遠に

返品する雑誌の付録を外していると

「子供向けの漫画に性的描写がある。

こんな本を置いているのは有害書店だ」

という警告文が書かれた赤い紙が挟まれていた。

その後も、いろいろな言いがかりの警告文が

返品する雑誌から見つかる。

 

ついには「有害書店と認定した。閉店後裏口に来い」

というメッセージが見つかり、

青井ともう一人のバイトがは閉店前から

周囲を見張っていた。

店長が退出して二人のバイトを見つけ話しかけた時

店内で人の気配がし、火災報知器の音が聞こえた。

3人は店に突入し、本棚が燃やされているのを

発見し必死に消火する。

 

書店に火をつけたのは誰なのか?

 

 

【感想・考察】

 本そのもの以上に「本屋さん」への愛が

あふれでている作品。

特に最終話では、構造的に書店経営が

難しくなっている状況を嘆いている。

 

私も本屋さんが好きと言いながら

髪の本は年間数冊しか買わず、

99%以上は電子書籍で購入しているので

書店衰退の片棒を担いでいるのかもしれない。。

 

海外在住で紙の書籍の入手性は悪いし

かなりたくさん買っているので、

物理的な場所を取らない電子書籍が

圧倒的に便利なのは間違いない。

 

また、電子書籍は出版が低コストな分

マイナーな作者さんの作品を読む機会も得られる。

 

それでも、やっぱり新しい本と出会うには

本屋さんが一番だと思う。

ふらふらしながら、知らなかった作者さんを見つけたり

表紙のイメージだけで買ってみたり

ポップなどを使った店員さんの「推し」に乗ってみたり

そういう拡散した探し方が楽しいのだけれど

それはネットではやりにくい。

 

Kindleなど一部のプラットフォームに

集中してしまうことで

長期的にみて流通の多様性がなくなると

どんどんつまらなくなってしまう気がする。

 

逆から見ると、出版社と印刷屋の近しさから

供給者側の都合で紙書籍へのこだわるのは不自由だし

Amazonなどのビッグプラットフォーマーに

飲まれてしまう原因となりかねない。

 

リアル書店と電子書籍のハイブリッド的な形態だとか

尖ったコンセプトを少数でもペイさせる手段だとか

もっと自由に本の可能性を広げる方法を考えたい。

 

本屋さんが好きだから、応援したいと思う。

 

 

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