毎日一冊! Kennie の読書日記

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世界のニュースがわかる! 図解地政学入門

タイトルに「地政学」とありますが 

中国、ロシア、ヨーロッパ、アメリカ の

19世紀以降の「戦争の歴史」がメインでした。

 

今日の諸問題を理解するために

そのルーツとなっている争いをざっくり理解するには

するにはちょうどいい感じです。

 

【タイトル】

世界のニュースがわかる! 図解地政学入門

 

【作者】

高橋洋一

 

【あらすじ・概要】

4地域について、19世紀以降の戦争の歴史を追う。 

 

地政学

国同士は土地を求めて押し合っている。

地理的条件が動向を左右する。

 

覇権を取るのは海洋国家。

近代以降は海が重要になる。

特に今日では地上のミサイル基地などは

衛星から隠すことができず、戦略的には

「原子力潜水艦」が最強。

海の重要性が増している。

 

民主国家はリーダーの独断が比較的行われるにくいので

戦争を起こす可能性が少ないという理論を紹介。

 

中国

中華思想による冊封体制がベースとなり

内陸部は直轄、外部は朝貢という体制だった。

近代以降のいくつかの戦争を経て海を重視し

現在では戦略的観点から

南シナ海の領有権拡大を目指している。

 

ロシア

 広い土地はあるが寒すぎて農耕には適さず

冬でも凍らない港がなかった。

東ヨーロッパではオスマン帝国や

西欧諸国との衝突を繰り返し

黒海や地中海へ至る港の確保を目指してきた。

またアジア地域でも不凍港の獲得を目指し

日本と衝突した。

二つの世界大戦を経てソ連となり

領土を広げたが、

アフガニスタンなどでの南下は阻まれる。

ソ連崩壊後、ロシアとなってからも

西欧諸国との緩衝地域として

ウクライナの重要性が高い。

 

ヨーロッパ

 ナポレオン戦争以降、帝国主義の時期には

ヨーロッパ本土での戦争は無くなったが

二つの対戦では本土が戦場となり

甚大な被害を引き起こした。

第二次世界大戦後はNATOやEUといった

安全保障と経済の協力体制を作り出した。

 

 

アメリカ

二つの世界大戦の時期以前は

アメリカの外交原則は孤立主義で

ヨーロッパの紛争に干渉しないできていた。

二つの世界大戦から方針を転換し参戦していった。

大戦後もマーシャルプランで西欧諸国の復興を支援し

共産主義陣営との争いを続けていった。

 

 

【感想・考察】

著者は戦争を中心に論じている。

より肥沃で便利な土地を求めて

国家は押し合いを続けてきた という観点だ。

 

近年では経済分野で「サイバー空間」という

新たなフロンティアが生まれている。

実体としての土地や資源を求める争いも続いているが、

地政学的な制限を受けないサイバー空間での争いも

同時に行われ、より複雑になってきている。

 

著者は「民主主義国家同士は戦争をしない」

という理論を紹介しているが、極端に過ぎるだろう。

民主主義的な手続きに、為政者や軍部などの

独断専行を防ぐ効果はあると思う。

しかし争いの起点は多様で、

特に経済活動には民主主義のコントロールが効かない。

 

争いを防ぐためには

より大きな枠組みでの利害調整機関が一つの解なのだと思う。

例えば日本でも近世以前は地方ごとに争っていたが

「日本」という単位が意識されるよになって

今日では群馬対東京がガチで戦うことは想像もできないくらいだ。

 

例えばEUでは、内部での対立はありながら

軍事衝突はあり得ないと現地人が確信するレベルで機能している。

 

EUは壮大な実験で、ぜひとも成功させたいと願う。 

 

 

 

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