毎日一冊! Kennie の読書日記

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灰は灰へ:Ashes to Ashes 伊達町サーガ

北海道の伊達町を舞台とした3つの短篇集です。

SF、ホラー、エロ、ミステリ等々をまぜこぜにしたような

夢の中に取り残されたような不安を感じさせる話です。

 

どの話でも兄弟・姉妹のつながりが

描かれているのは共通要素で、

どこかで繋がっているように見えますが

作中ではっきりと分かるわけではありません。

 

捉えどころのなさが味わいなのかもしれません。

 

 

【タイトル】

灰は灰へ:Ashes to Ashes 伊達町サーガ

 

 

【作者】

伊藤なむあひ

 

【あらすじ・概要】

北海道の伊達町を舞台とした3つの短編集。

 

アルミ缶の上に

「わたし」スーちゃんは友人の葬儀に出るため実家に戻ってきた。

名探偵となった姉に「友人を殺した犯人を捕まえて欲しい」という。

わたしは姉と自転車に乗り、

友人のミちゃんがいるリサイクルショップに訪れる。

 

ぼくらの楽園(仮)

「俺」と ゆうご と たっくん の三人は、

粗暴なムシャ先輩が ゆうご の姉を連れているのを見つけ

二人の後をつけ、営業を停止したラブホテルに入っていくのを見た。

電気も止まった暗いラブホテルの中で、

ゆうご は姉を救うため、ムシャ先輩に立ち向かっていく。

俺と たっくん はムシャ先輩から逃げ

ホテルの一室に入ったところ、中には憧れていたミハラ先輩がいた。

 

方舟事件は迷宮入り

女子高生のタカハタユキは、自らを名探偵という同級生の女子

八月さんに憧れていた。

八月さんは、自ら「方舟事件」と名付けた

連続女子高生失踪事件の解決に取り組んでいた。

ユキは「宇宙水」を売っている中年女性が

失踪した女子高生たちを捕らえていたことを知り

八月さんが名探偵として活躍できるよう画策する。

 

【感想・考察】

読んでいて不安な気持ちになる作品。

 

とくに1つめの 「アルミ缶の上に」は

身の置き所が定まらない気持ち悪さがある。

誰を、何を、信じればいいのか分からず、

夢の中の夢に沈んでいくような拠り所がない不安を感じる。

 

さらに、不自然な句読点でリズムを乱したり

極端に長い文を重ねたり、2文字で改ページしたりと

読むペースを乱し息苦しさを煽るなど

内容だけでなく文章自体も不安感を醸し出している。

 

2つめ、3つめの話は、まだストーリーになっているが

それでも夢の中のような頼りのなさを感じる。

 

ここまで心を乱す作品というのは

ある意味すごいと思う。

 

 

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