毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

夢の終わりで、君に会いたい。

いつか、眠りにつく日」に続く いぬじゅん さんの作品です。

 

前作に続き、人の死が絡む切ないストーリーですが

「生きていることの素晴らしさ」や

「言いたいことは言わなきゃダメ」という思いが

込められているように感じます。

 

「誰かの期待に沿うこと」が標準になっている自分には

深く共感でき、勇気づけられる話でした。

 

 

【タイトル】

夢の終わりで、君に会いたい。

 

【作者】

いぬじゅん

 

【あらすじ・概要】

高校一年生の森井鳴海は、いつも相手の顔色を見て、

苦しいことも飲み込んできた。

鳴海は夢の中の時間が何より好きで

そこで少し前に死んでしまった猫の「親方」に

会えることを楽しみにしていた。

 

家でも学校でも、イヤなことばかりだった誕生日に、

鳴海は公園のジャングルジムから夕焼けを眺めていたが

風にあおられて頭から落下し、

友人からもらったプレゼントを壊してしまった。

 

その日以降、鳴海の見る夢は「正夢」となる。

転校生「武藤雅紀」との出会いや

両親が離婚を決意してしまうこと、

姉の交際相手が既婚であることなど

夢で見た内容が次々と現実となっていった。

 

雅紀は死別した母親を忘れ再婚しようとする父に怒って

祖父母の元で暮らし、誰もが敵だと感じ、心を閉ざしていた。

 

鳴海は、正夢でみた情報を使って、

雅紀と父親のいさかいを防ごうとする。

上手くいかないながらも、鳴海と雅紀は徐々に惹かれあっていく。

 

正夢を見るようになってから、

鳴海の体力は急激に落ちていった。

夢の時間が徐々に「闇」に覆われ始め

いつか「夢に喰われてしまう」と感じる。

 

そして鳴海は自らの死の光景を「正夢」として見てしまう。

 

 

【感想・考察】

いつも相手の顔色を窺い、心を押し殺している少女が

夢の世界を通じて、少しずつ自分の思いを取り戻していく。

 

 

感情を表に出すことを恐れ、

自分の中にしまい続けていると

怒りも、悔しさも、嬉しささえも

感じ取れなくなってしまうようだ。

 

感情を表に出すことが難しいにしても

少なくても自分の中では「自分が感じていること」を

言葉にして受け止めることが必要なのだろう。

 

苦しくて逃げることがあってもいいし、

その時は「苦しくて逃げた」ことをきちんと認識し

受け止めればいいのだと思う。

「苦しい」と感じることから逃げて

「逃げた」自分を認めることからも逃げ続けると

自分を好きになることができないのだろう。

 

バイト先のママである「よしこちゃん」の

「気持ちってね、抑え込みすぎると

おかしくなっちゃうものよ。

言葉にできないなら無理しなくていい。

だけど、思ったことを攻めて自分には

聞かせてあげなさいな」

という言葉が心に響く。

 

勇気をもらえる話だった。

 

 

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