毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

能登怪異譚

 能登地方の方言にのせて語る

9編の怪異小説短編集です。

土着の不気味さが滲み出るような話です。

 

 

【タイトル】

能登怪異譚

 

【作者】

半村良

 

【あらすじ・概要】

能登を舞台とした9編の怪異短編集。

 

箪笥(たんす)

男は、夜に子供が寝床を抜け出して

箪笥の上に座りじっとしていることを知る。

妻に注意するが、子供をたしなめることはなかった。

そのうち、子供の兄弟も妻も、

夜中に箪笥の上に座るようになり、

不気味になった男は家を逃げ出した。

数年後、漁をしていて近くを通りかかった男は

海の上で箪笥を担いだ子供たちを見る。

男も箪笥の上に座り運ばれていった。

 

蛞蝓(なめくじ)

男は妻の浮気を知り別れることとなる。

妻に嫁入り道具を返すため、男が蔵に入ると

蔵中に蛞蝓がびっしりと集まっていた。

不気味に思った男は塩をまき蛞蝓を溶かしてしまった。

妻が蔵に訪れたが蛞蝓がいたことを信じない。

怒った男が妻を蛞蝓の粘液の中に突き落としたところ

妻は溶けてなくなってしまった。

男の方は蛞蝓の粘液が着いた部分が硬くなり痛んだが

海の中にいる間だけは痛みが引いた。

そのうちに男は常に海に入り浸るようになった。

 

縺れ糸(もつれいと)

翁媼原(じじばばはら)という場所に老夫婦が住んでいた。

老夫婦は特に仕事をするわけではないが

動物たちに囲まれ、食うに困ることなく暮らしていた。

 

老夫婦が、何か宝物を持っているのではないかと

勘繰った泥棒がその家に盗みに入ることを計画する。

翁媼原と老夫婦を愛する青年平太郎がその話を聞き

泥棒の侵入を防ぐ。

 

老夫婦から「縺れた糸をほぐし続けることで

神様から恵をもらっている」という話を聞いた平太郎は

老夫婦にもっと豊かになってもらいたいと考え

絡まった糸を解すことを手伝おうとする。

平太郎がハサミを使って糸の縺れを切っていくと

いつの間にか翁媼原も老夫婦も消えてしまった。

 

雀谷(すずめだに)

男の幼少時代の友人、賢吉の娘婿が訪ねてくる。

賢吉はがんに侵され動くことができないが

かつて見た「雀谷」をまた見たいと願っているという。

「雀谷」は雀が命の終わりを悟ったときに集まる場所で

世界中の雀の墓であった。

 

蟹婆(かにばあば)

とある村に伝わる「蟹婆」の伝承を調べるため

雑誌記者の若い女性が話を聞いて回る。

話を聞くたびたらいまわしにされ、

ある者は作り話だと言い、

ある者は行き倒れの旅人を蟹が食べてしまった話だという。

夜も更け最終バスがなくなり、

記者は村人の家に泊まることになる。

 

仁助と甚八(にすけとじんぱち)

仁助と甚八は、お互いに姿を変えて化かしあう。

 

夫婦喧嘩

妻に先立たれた春吉の親戚は

お見合いを手配するが、彼は中々応じない。

春吉は、浮気した妻に殺された男の幽霊と会い、

「妻のことは恨んでいない」という言葉をその妻に伝えたが

妻はおびえて首を吊ってしまう。

その夫婦の幽霊が日ごと春吉の家で夫婦喧嘩を繰り返していた。

 

夢たまご

 一銭硬貨を拾った少年は、玉子売りから

食べると夢を見るという「夢たまご」を買う。

青年になった少年は、玉子売りの家に辿り着き

再び「夢たまご」を食べる。

最後に老人となった男の前に、かつての玉子売りが現れる。

男には「夢たまご」を食べたとき以外のことが

全て夢の中の出来事のように思われた。

 

終の岩屋

足を踏み入れると姿が消えてしまうという「終の岩屋」の前に

ひとつの宿屋があった。

その宿屋にはこの世から消えてしまいたいと思う人たちが

うわさを聞きつけ集ってくる。 

 

【感想・考察】

 なんとも不気味な話。

能登地方の方言で書かれていて

その独特の語感が不気味さを増している。

 

最初は iOSの読み上げ機能を使って聞こうとしたが

方言のリズム感や独特な漢字の読みが上手く再生できず

諦めて文字で読んだ。

語感から醸し出される雰囲気が

大切な役割を果たしている作品なのだと感じた。 

 

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