毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

中途半端な密室

東川篤哉さんによる

5つの「安楽椅子探偵」ものの短編集です。

手紙や新聞から得た情報だけで

推理していくお話です。

ストーリーがすっきりとまとまっていて

会話のテンポが良いので、

読みやすく楽しむことができました。

 

【タイトル】

中途半端な密室

 

【作者】

東川篤哉

 

【あらすじ・概要】

5編の短編ミステリ集。

 

中途半端な密室

探偵役の十川と小説家の片桐が

喫茶店で新聞に載っていた事件について語り合う。

 

テニスコート内で男が死んでいた。

テニスコートは四方が4mの金網で囲われいて

唯一の出入口であるドアには内側から施錠されていた。

 

ただ、金網の上に屋根はなく

金網をよじ登っての出入りは可能なため

密室としては中途半端なものだった。

密室でないのであれば、

わざわざ鍵をかけてから金網をよじ登る意味が理解できない。

テニスコート内で起こった出来事を

新聞記事の情報から十川が推理していく。

 

南の島の殺人

大学生の七尾と山根は、旅行中の友人 柏原から手紙を受け取る。

手紙には柏原が旅先のS島で関わった事件について書かれていた。

 

柏原が旅先のS島で突然のザアザア降りにあい

あるイギリス人の家のカーポートに避難していた。

そのイギリス人は柏原を家に招きお茶をごちそうする。

翌日、そのイギリス人の家の庭のパラソルの下で

男性が全裸で死んでいるのが発見された。

 

 

山根と七尾は真相を推理していく。

 

竹と死体と

山根がバイトする古本屋で昭和11年の古新聞に

奇妙な事件が掲載されていた。

 

ある老婆が20メートル近くある竹の上部で

首をつって死んでいるのが発見されていた。

自殺にしても他殺にしても、それほど高い場所で

首を吊った意図が分からない。

 

山根は「新聞にある情報」だけをみて

真相に辿り着く。

 

十年の密室・十分の消失

再び、柏原が七尾と山根に送った手紙を基に推理する。

 

旅先で柏原は脱輪し困っていた女性 美也子を助ける。

美也子は10年前に父が自殺したという屋敷に向かっていた。

美也子は父が自殺したとは信じられず、

誰かに殺されたものだと確信していた。

 

柏原と美也子は、美也子の父が死んだ「丸太小屋」を見てから本館に赴く。

本館には美也子の伯父にあたる人が使用人夫婦と共に住んでいた。

伯父は美也子たちが丸太小屋を調べることを拒んでいた。

 

翌朝早く目覚めた柏原は、本館の部屋から、濃い霧越しに

丸太小屋を見たが、

その後、雪が降って視界がふさがれた十分ほどの間に

丸太小屋が完全に消えてしまっていた。

 

山根は手紙の情報を元に、悲しい真相を推理する。

 

有馬記念の冒険 

ある男が自宅で泥棒に殴られ意識を失った。

殴られたとき、有馬記念の出走のタイミングだったため

正確に3時25分の犯行であることが分かっていた。

 

一人の容疑者がいたが、

彼は 事件の現場から 2.5㎞ほど離れた場所で目撃されたいた。

証言では、有馬記念のゴール直後に目撃したとのことで

それは 3時28分ごろになり、犯行は不可能と思われた。

 

七尾と山根は、その証言をした友人から話を聴き

不可能を可能としたトリックに気が付く。

 

 

【感想・考察】

 東川氏の作品ではキャラクタ同士の掛け合いが気持ちよくて

コメディ風に楽しく読めるが、ミステリとしても

きちんと作りこまれていると思う。

 

本作の十川と山根は「安楽椅子探偵」として

手紙や新聞などの情報「だけ」を基に推理していて

追加で現場検証をしたり、人から話を聴いたりはしていない。

「限られた情報から推理する」という

安楽椅子探偵ものの醍醐味を味わえる。

 

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