毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

よるのばけもの

君の膵臓をたべたい」や「また、同じ夢を見ていた」に続く

住野よるさんの3作目です。

いじめがテーマですが、希望の見える優しい話でした。

 

【タイトル】

よるのばけもの

 

【作者】

住野よる

 

【あらすじ・概要】

夜になると黒い粒子に包まれ ばけもの になってしまう

男子中学生の安達。自由に体の大きさを変えたり、

高速で移動したりする能力を使い、毎夜街を徘徊していた。

 

ばけもの の姿で、夜の学校に忘れ物を取りに行くと

「夜休み」をしていた 同級生の女子 矢野に姿を見られてしまう。

矢野は ばけもの の正体が安達であることを見抜き

「自分が夜学校に来ていること」を秘密にする条件で

安達がばけものであることを秘密にすると約束する。

 

矢野はクラスで いじめにあっていた。

吃音があったり、嫌がらせを受けてもニンマリ笑っていたり、

クラスのおとなしい女子の本を捨てたりという奇行があったり

クラスから完全に浮いていた。

 

空気を読み周りに合わせてきた安達も

いじめに積極的に関わらずとも、

クラスの大勢に合わせ矢野を無視し続けていた。

だが夜の学校で、安達と矢野は少しずつ会話を重ねていく。

 

ある日「学校に怪獣が出る」という噂を聞いて

夜の学校に探検に行こうとするクラスメートの話を聞き

安達は矢野の「夜休みの時間」を守るため

ばけものの姿で彼らと対峙する。

 

夜の学校で知った 矢野の思いと

昼の学校でクラスから浮いてしまう恐怖の間で

安達は揺れ動く。

 

【感想・考察】

住野よるさんの作品はどれも好きだが

本作が一番感情移入できた。

 

周囲と調和していることを最優先し、

好きな音楽を聞かれれば

「無難でメジャーすぎない適当なところ」を挙げたり、

「嫌だな」と思っても、それが大勢であれば

付かず離れずの姿勢で様子を見る。

自分が夜毎 ばけもの になることより

自分が属する社会で浮いてしまわないことが最重要なのだ。

青臭い男子中学生の安達だが、他人事と思えない。

自分は今も「周囲と調和している」ことに安心する。

 

黒い粒子に包まれ、6本の足と8つの目を持つ夜の姿より

昼間の学校の安達の方が、ばけものなのかもしれない。

 

作中で 能登先生はいじめられている矢野に

「今は耐えろ、大人になれば少しは自由になる」という。

これは、今辛い思いをしている現役学生たちへのエールなのだろう。

確かに大人の世界では、あからさまないじめは減っていくが

周囲との同調圧力による息苦しさはむしろ増していく。

 

そこから一歩踏み出す力を与えてくれるような話だった。

 

 

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