毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

生きている理由

日本で男装の麗人「川島芳子」として生きた

清朝の王女の実話をベースとしたフィクションです。

松岡氏が「黄砂の籠城」で描いた義和団の変から

十数年ごが舞台になっています。

歴史小説ですが、数奇な運命を生きた芳子と

陸軍少尉の恋愛を中心に描かれています。

 

【タイトル】

生きて胃いる理由

 

【作者】

松岡圭祐

 

【あらすじ・概要】

清朝末期、粛親王の娘として生まれた第14王女「けんし」が主人公。

義和団の変の際に、粛親王の逃亡を手助けした「川島浪速」が

粛親王との関係を深めた。

 

中国で国民党が力をつけ、皇族にも危険が迫り、

川島浪速は粛親王の一族を旅順に逃がす。

のちに、粛親王は娘の「けんし」を川島の養子とし

川島を通して日本との関係を深めようとした。

 

川島浪速は、満州族による王朝の復古の後押しとしていたが

中国での列強のポジション争いに関わる政治判断から

日本が清王朝復活を推す可能性はなくなり

川島浪速は主流から外れてしまう。

 

「けんし」は「川島芳子」と名乗り

東京の跡見学園に通っていたが

浪速の経済状況の悪化により松本に移る。

 

芳子は松本でもその美しさで周囲の目を引いていた。

ある日、芳子が乗馬して通学する途中、

爆竹を馬の足元で爆竹を鳴らすものが現れ

落馬しそうになったところを

陸軍松本聯隊の 山家少尉が助ける。

 

山家も芳子の美しさに心を奪われる。

彼は爆竹の破片を見つけ、中国人の犯行である可能性に気づき

芳子に出会えることを期待して芳子の養父、浪速の元に向かう。

そこには多くの若い軍人が芳子を目当てに集まっていた。

 

粛親王と芳子の実母の訃報を受け

芳子と浪速は長期にわたり中国に戻る。

日本に戻った後、手続きの不備から芳子は退学となり

彼女は浪速から教育を受けることとなる。

 

芳子は粛親王から浪速に送られた手紙を見つけ

芳子を養子に出すに際して

「ひいてはきみに玩具を進呈する」と書かれていた。

粛親王の真意が分からず、彼女は困惑する。

 

山家がが川島家を訪れた際にもその手紙を見つけ

芳子と浪速の関係に疑念を挟む。

その時、部屋に閉じこもっていた芳子が襲われる事件が起こる。

 

浪速は「玩具」とは

佳子の嫁入り道具として受け取った

「黄金の独楽」であることを明かす。

 

芳子と浪速は山家を伴い、

東京の銀行の貸金庫にある「黄金の独楽」の現物を見るが

すでに浪速の借金の担保となっていることがわかった。

さらにその時、中国人の窃盗団に独楽を奪われてしまう。

 

 

【感想・考察】

松岡氏には

「出だしの緊張感が素晴らしいけれど

風呂敷のたたみ方が雑」な作品も多いが

本作は後半に行くほど盛り上がり、最後まで楽しめた。

 

黄金の独楽の争奪を中心にしながら、事件そのものよりも

芳子と山家、カンジュルジャブ の恋愛関係をテーマにしている。

史実から大きく逸れることなく、謎の多い女性「川島芳子」が

女性を捨てた理由、それでも生きていた理由を

松岡氏独自の解釈で膨らませて、美しく描かれている。

 

歴史小説というにはフィクション要素が強すぎるかもしれないが

一つの解釈として楽しく読めた。

 

 

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