毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

本を殺してみたけれど

著者が引越しで蔵書を処分したときのお話です。

電子書籍についての考察かと思って読んだのですが

著者の読書遍歴や、

イギリスのインテリアについての話が中心でした。

 

 

【タイトル】

本を殺してみたけれど

 

【作者】

リンダ・グラント

 

【あらすじ・概要】

作家である リンダ・グラントが引っ越すにあたり蔵書を処理する。

未読の本、再読する可能性のない本を次々と捨てていく。

Kindle を使い始め、紙の本を買わないようになっていく。

「作家なのに本がない」という恥ずかしさ以上に

「新品の本の背表紙に折り目を入れる」満足感を味わえず

空虚さからは逃れられなかった。

 

【感想・考察】

作者の自分語りが中心なので、

この作者自身に興味がないと楽しめない本だ。

 

ただ、「小説家の立場からは、

電子書籍をどうみえるのか」 という視点は興味がある。

 

小説家には、やはり本好きが多く

紙の本に愛着がある人が多いのだろう。

「本そのもの」や「書店」がテーマになったり

「本」を丁寧に扱っかている様子が伺える。

 

電子書籍の普及により、

書店が急激に減っていることを心配する人もいる。

 

また、コピーの容易さによる著作権侵害を懸念し、

電子書籍を嫌う作家もいるようだ。

 

そういう懸念は十分理解できるが

私自身は電子書籍推進派だ。

 

海外に住んでいるため、日本の本をデジタルデータとして

すぐに受け取れることは大きな魅力だ。

逆に紙の本を買うのは困難で、年間数百冊読んでいても

紙で買うのは数冊しかない。

 

また、電子書籍はスペースを取らないことも大きなメリットだ。

引越しが多く、持ちものは極力減らしたいので

蔵書に場所を取られないことは有難い。

持ち歩かずに必要な時にダウンロードできるので

歩くのも身軽になる。

 

若干遠視気味になってくると、

字の大きさを自由に変更できるのも有難い。

ページめくりなどの操作性はまだ紙の本に負けているが、

技術的にいつかは追い抜くだろう。

 

電子書籍のコピーで、売上が減る可能性はあると思うが

Kindleなど正規のプラットフォーム上であれば

ある程度の保護ができていると思われる。

何より本を買うことがずっと気軽になるのはメリットだ。

私自身は、Kindleを使い始めてから

本の購入金額が、少なくとも以前の10倍にはなっている。

「作者に対価を払いたい本好き」が

「より手軽なプラットフォーム」を手に入れれば

売り上げは増大すると考えるのは楽観的すぎるだろうか。

 

一方で流通の仕組みについては懸念もある。

Amazonなどの大手プラットフォーマーが独占することで

「書店」や「出版社」のように

本を支えてきたインフラが破壊されるのは困る。

 

私は電子書籍肌が、リアルな書店自体は大好きだ。

本を選ぶ楽しさは、オンラインストアはリアル書店に敵わない。

日本に帰った時には、書店には必ずより売れ筋の本や

マニアックな本をさがしている。

ただ、紙の本の重さが嫌で、結局電子書籍を買ってしまう。

 

電子書籍により出版のハードルが下がり

多くのインディーズ作家が出てきたことは嬉しいのだが

作者を発掘し育てる役割を担っていた出版社が中抜きになると、

「取材などで金と手間を十分にかけた本」ができにくくなるかもしれない。

 

書店や出版社の方々には

電子書籍のメリットを生かしながら共存共栄できるよう

頑張ってもらいたいと願う。

 

 

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