毎日一冊! Kennie の読書日記

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養老孟司の<逆さメガネ>

養老孟司先生による教育論です。

世界の「都市化」に疑問を投げかけています。

 

【タイトル】

養老孟司の<逆さメガネ>

 

【作者】

養老孟司

 

【あらすじ・概要】

偏見をもってみることを「色メガネ」というように

大勢となっている見方を変えてみる「逆さメガネ」で

現代社会を見て語る。

 

今の社会は「自然に価値はない」

「そうすればこうなる」という因果が明確なものに価値を置く。

自然はコントロールできない。

子供は「自然」なので「大人になる前段階」としての

価値しか置かれていない。

 

日本は「自然を力でねじ伏せる」都市化を進めている。

同時に内部的には、暗黙の了解で進む「村社会」のまま。

 

脳への入力と出力をバランスよく行う必要がある。

出力とは体を動かすこと。

脳からの出力が外界の環境を変え、入力を変える。

「身体性」が軽視されているが、

「知行合一」、「文武両道」といった

入出力の両方を重視する考えを見直すべき。

 

都市化にともない「脳化」が進展している。

「自分という不変の主体があり、

日々変わっていく情報を取り入れている」

という考えが一般化しているが

著者は「情報は不変。情報を取り入れいることで

自分は日々変わっていく」という捉えている。

 

心は他者と通じ合うことで存在する。

社会的には「共通のもの」で、そこに個性は存在しない。

個性が宿るのは身体の方。

 

「意識」で説明できないことは間違えと考えられているが

例えば、サリドマイドの催奇形性を理屈では

説明できないからといって正しくないとは言えない。

通常、指が5本に分化する機序もわかっていない。

科学が全てを予測することもできない。

 

科学を進めていっても「ハッピー」にはなれない。

「問題は内側にある」と考える。

 

共同体と機能体のどちらかを選ぶという

一元論から離れ、

「都市こそ進歩」という思想を変えていくことが必要。

多様性のある共同体社会が必要。

 

 

【感想・考察】

現代教育が身体性を軽視する流れにあるのは

間違いないだろう。

本書が書かれたのは20年近く前で、

最近ではさらにその傾向が

高まっているのではないだろうか。

 

「意識」が全てをコントロールできることはなく

「身体」が「意識」を支配しているし

逆に「意識」は「身体」に影響を与えている。

 

スポーツに限定するのではなく

教育には「身体」を正しく使う訓練が必要なのだと思う

そうなると「人はそれぞれ違う」ということを

前提にしなければならなくなるが

逆に多様性が共同体を強くするとも言える。

 

本書には興味深い提言もたくさんあるのだが、

語った内容を書き起こしているからか

整理されていない感があるのは残念だった。

 

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