毎日一冊! Kennie の読書日記

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FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

「思い込みから逃れ、事実をもとに世界を見よう!」

という話です。

これは間違いなく名著です。

多くの人に読んでもらいたいと思います。

 

【タイトル】

FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

 

【作者】

ハンス・ロスリング

オーラ・ロスリング

アンナ・ロスリング・ロンランド

 

【あらすじ・概要】

事実をありのままに捉えることを邪魔する

「10の本能」について解説し

ファクトフルネス(真実に基づいた行動)を

実践する方法を解説している。

 

1.分断本能

最上位層と最下位層がいるのは間違いないが

実際には大半の人はその中間にいる。

 

平均を比較すると差がある2グループでも、

分布をみると重なり合う部分がある。

先進国と後進国の比較でも内部には

その中の暮らす人のレベルは重なる部分も多い。

 

高いところから見ると下層での差が見えにくいが

貧困層の中でも本当にギリギリのレベルと

比較的安定した生活のできる層がある。

 

2.ネガティブ本能

悪いニュースの方が伝わりやすい。

良いニュースがあっても伝わっていないことに気づく。 

例えば、飛行機の墜落はニュースになるが

飛行機が無事に着陸してもニュースにならない。

ただ世界を良くするのは、飛行機の運航を日々支える人だ。

 

「悪い」状態と「良くなっていること」は両立する。

現状はまだ悪いが、以前よりは良くなっていることはある。

 

世界を変えていくのはゆっくりとした進歩だが

それもニュースにはなりにくい。

 

過去は美化されやすいので、

実際よりも今が悪く見えることもある。

  

3.直線本能

数値変動のグラフには様々な形があり得る。

全ての変化が直線的に続くと考えてはいけない。

 

 例えばここ数百年の人口増加をみて

「どこまでも人口が増え続ける」と考えるのは誤り。

子供が大人になるまで生き残る確率と

ひとりの女性が産む子供の数は綺麗に反比例し、

数百年に渡って「子供の人口」は増えていない。

人口解析の専門家は100億人〜120億人程度で

安定すると見ている。

 

4.恐怖本能

おそろしいものには自然と目が向いてしまう。

メディアもニュースになりやすい恐怖を見せるが

実際の世界はそれほど危険にあふれているわけではない。

例えば自然災害のニュースがあふれていても、

1940年代と2010年代を比べると、

自然災害による死者数は50分の1程度に減っている。

 

リスクは危険度と頻度の掛け算で決まる。

1万人の命を奪う震災は大きなリスクだが、

衛生的な水を得られず、下痢で死ぬ子供は

毎月3万人近くいる。

アメリカでは過去20年間に約3200人が

テロで亡くなったが、

同時期に飲酒が原因で亡くなった人は140万人。

目先の恐ろしさに引っ張られるのではなく

リスクを冷静に判断するべき。

 

5.過大視本能

ある数字だけに着目すると

それを過大評価してしまいがち。

他の数字と比較したり、母数で割ってみたりして

数字の意味を理解することが必要。

 

「2016年の間に420万人もの0歳児が亡くなった」

という情報だけを聞くと大きな数字だと思う。

もちろん人の命は一人でも重い。

ただ過去からの比較で言えば、

この人数は計測開始以来 の最低数で

1950年と比較すると1000万人以上減っている。

母数も増えているので、死亡率でみると

1950年の15%から3%まで大幅に減っている。

 

6.パターン化本能

集団のパターンを根拠に説明されることがあるが

同一集団内部でも差異はあるし、

異なる集団でも類似するケースもある。

 

例えば避妊や中絶を認めないカトリックや

多産を推奨するムスリムで

出生数が多いということはなく

信奉する宗教にかかわらず、

同一の収入レンジでの出生数はほぼ同じになる。

 

7.宿命本能

長い間維持されてきたものは

変えることができないと思いがちだが

本質的な変化は時間をかけ積み重なるので

見えにくい。

少しずつの変化を積み重ねると大きな変化になる。

 

8.単純化本能

ある問題の解決に使えたからといって

全ての問題にその道具を使えるわけではない。

数字がなければ判断できないが、

数字だけで全てを語れるわけでもない。

 

9.犯人捜し本能

誰かを責めると原因に目が向かなくなる。

人ではなく原因を見ることで問題の再発を防ぐべき。

 

逆に世の中の進歩も、ヒーローに着目するより

その仕組みを支える人他の貢献を認めること。

 

10.焦り本能

 「今すぐに決めなければならない」

 という焦りは判断を誤らせる。

本当に今すぐに決めなければならないことは多くない。

緊急で重要な場面でもデータを見るべき。

 

 また、勢いにかられて過剰が対策をとることがないよう

行動の副作用も考える。

大抵は地道な一歩に効果がある。

 

 

【感想・考察】

世界に解決すべき課題はたくさんあるが

貧困や教育などの面で世界は確実に良くなっている。

 

「良くなっている」ことと「まだ悪い」ことは両立する。

現状が「悪い」からといって、良くならないわけではないし

良くなることを諦めるのは最悪だ。

 

自分の見えている範囲で

「良くないことがたくさん起こっている」と感じているが

最も助けを必要とする最貧困層は確実に減っている。

それを実現しているのは、強いリーダーではなく

人々の地道な取り組みである。

 

世界から最下層の貧困は確実に減っているし

減らす方法は分かっている。

着実に取り組めば、世界から貧困を追放することはできる。

 

「ドラマに引っ張られず事実を見る」

ことを勧める内容だが、

ここ最近読んだ本の中で最もドラマチックだ。

 

一人でも多くの人に読んでもらいたいと思う。

 

 

 

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