毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

幸・不幸の分かれ道

不幸のスペシャリストとして

「厳密な思考」と「ユーモア」を日本の柱とした

「不幸を軽減する方法」を説く本です。

モノの見方や受け止め方を広げるような視点です。

 

 

 

【タイトル】

幸・不幸の分かれ道

 

【作者】

土屋賢二

 

【あらすじ・概要】

当たり前に縛られることが不幸を招いているとして

「当たり前を疑う」ことを提唱している。

 

1. 人間は考えるのが苦手

宗教は無条件に信じることで救いを得ようとするのに対し

哲学は徹底的に疑うことで本質に迫ろうとする。

 

人は先入観や思い込みで「幸せ・不幸せ」を規定してしまっている。

ポイントをずらした主張に飲み込まれてしまうこともある。

 

例えば「フリーターばかりになると社会が成り立たないから

フリーターになってはいけない」という論理が成立するなら

「総理大臣だらけになっても社会は成り立たないので

総理大臣になってはいけない」ということになる。

フリーターの是非を「それだけでは社会が成り立たない」

という軸で判断するのは誤りだが、納得してしまうこともある。

 

考え方が幸不幸を分けるので、厳密に施工していくことが大事。

 

 

2. どうやって主張するか

権威や合理性があるように見えると主張が通りやすい。

専門家だから、自然なことだから、人間だけができることだから

類似のもので成立しているから、

というような権威づけ・理由づけも、本質からずれている。

 

異なる前提で話をされた場合、

例えば「麦は踏むと強くなるから、

新人教育も踏み付けるようなプレッシャーを与えるべき」

ということを言う人がいれば、

「新入社員は麦じゃない」とまっすぐ反論すればいい。

 

3.どうやって意見の違いを調整するか

倫理的判断で絶対の正解を見つけることは難しい。

価値観の争いは解決しない。

相手が異なる価値観を主張することは認めるべきだが

その価値観を批判することを止めるべきではない。

 

和を尊ぶという考えは理解できるが

少数意見だからと言って黙殺すべきではない。

多面的な見方の助けとなることがある。

「専門家」でも常に正しい判断ができるわけではなく

まして大勢を決める「一般大衆」の意見が必ず正しいとは言えない。

 

4. どうやって生きるか

「自分の能力を活かしてこそ幸せになれる」という考え方も、

優れた能力が見つけられない人を不幸にしている。

能力は人間の一側面でしかなく、

人並みの能力しかない分野でも好きなことができれば幸せになれる。

 

また「人生の目的に向かって生きるべき」との考えも

閉塞感につながる。

「目的」だけだと考えると、その他の

余計なもの、無駄なもの、意味がないものを

全て切り捨ててしまうことになる。

 

アリストテレスは

「人間の行動には二種類ある。

一つは目的を達成するためのもので、

もう一つはそれ自体が目的となるものだ」といった。

 

例えば「食べること」は生きるための行動だが

「生きること」自体は他の目的のための手段ではない。

 

それ自体が最終的な目的となる

生存、娯楽、学問、快楽、美、愛 などが

「上位目的のための行動」よりも価値があるものだとされた・

 

人は目的を持たなくても、行動自体を楽しむことができる。

生活できる状態になれば目標を定める必要はない。

 

また、欲求を満たすことも必要だが

中庸を目指すべき。

 

 

5. どうやって笑うか

物事には多面性があるが、

とくに「自分の不幸」や「自分の欠点」に対しては

ある一面だけを取り出して深刻になる傾向がある。

 

「ユーモア」というのは深刻だと思われていることでも

視点を変えて「大したことではない」かもしれないと感じさせることだ。

 

例えばナチスが英仏海峡を封鎖したとき

イギリスの新聞は「ヨーロッパ大陸が孤立」という見出しをつけた。

これを笑うことはできなかったかもしれないが、

深刻さを和らげる意味はあったと思われる。

 

自分の欠点を茶化してしまうことで

自分自身が楽になることもある。

 

  

【感想・考察】

 

「目的に向かう人生は本当に幸せか?」

という問いかけが響く。

 

私の好きな言葉に、キルケゴールの

“Life is not a problem to be solved, but a reality to be experienced” 

というものがある。

 

禅の思想に近いのだと思うが

「今、目の前にある経験」を全力で楽しみ

結果として次々と新しいステージに向かっていくという

生き方が合う人もいるのだろう。

 

一方で、「成功哲学」や「引き寄せの法則」にあるように

目標に向けて計画を立て努力を積み重ねていく

「目標に引っ張られていく」人生も素晴らしいと思う。

 

あるいは、これらは二律背反するものではなく

統合していくことができるのかもしれない。

 

そんなことを考えさせられる本でした。

 

 

当ブログは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムであ「Amazonアソシエイト・プログラム」に参加しています。