毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

影響力の正体 説得のカラクリを心理学があばく

人から「イエス」を引き出す

6つの影響力を分析しています。

 

相手を上手く説得するためにも、

影響力を及ぼす巧妙な相手から自衛するためにも

役に立つ内容です。

 

 

【タイトル】

影響力の正体 説得のカラクリを心理学があばく

 

【作者】

ロバート・B・チャルディーニ

 

【あらすじ・概要】

親鳥はひな鳥の「声」に反応して世話をするので

ひな鳥の声を発するイタチのぬいぐるみも世話をする。

実は人間も同じように、物事の一部の特徴に

機械的に反応して行動することがある。

そういった影響を及ぼす原理を6つに分け解説する。

 

1.恩義

「受けた恩を返す」というルールは

人間社会に深く根付いている。

ささいなプレゼントでも受け取ってしまうと

「返さなければならない」と感じる。

 

「恩義」の使われ方

プレゼントが自分が望むものであるかは無関係。

1の恩義に対して10の要求を受けても断りにくい。

当初の要求から譲歩するだけでも与えたことになる。

 

「恩義」との戦い方

相手の恩義は受け取る。

それが「手段」であると分かった場合は徹底的に戦う。

 

 

2.整合性

人間は自分で一度決めたことと

「整合性」のある行動を取ろうとする。

最初に小さなことで相手に同意させ

その後に同意した内容と連続する大きな要求を投げる。

 

2.「整合性」の使われ方

ビーチに放置された荷物が盗まれても

普通は敢えて泥棒を呼び止めたりはしないが

「荷物を見ていてください」という依頼に

同意した人は、言葉と行動をせいごうさせるため

泥棒を捕まえようとする。

 

また玩具メーカーはクリスマスシーズンに

人気商品の供給を絞る。

「クリスマスにそれを買ってあげる」という

約束を守れず他の玩具を買った親が

辻褄を合わせるため、クリスマスシーズン後に

供給豊富となったその玩具を買うという戦略。

 

大勢の人に見られている方が効果が高い。

また自分の意志で決めたことが大事で、

強制された場合はこの原理は働かない。

 

「整合性」との戦い方

自分の心の反応をきき、

「受け入れたくない要求」を感じ取る。

その場合は果敢に断る。

 

 

3.社会的な証拠

周囲と同じ行動を取りがちであることを利用される。

特に自分の判断に自信が無い時には

周囲の行動と合わせる傾向が高まる。

 

「社会的な証拠」の使われ方

見えるところに高額なチップが入った瓶を

置いておくような「サクラ」が有効。

 

住宅地の真ん中での殺人事件で

36人が目撃していたにもかかわらず

誰も通報しなかったのも、

「周囲が何もしないのは大したことがないからだ」

と捉えられたからだとする。

 

「社会的な証拠」の使われ方

助けが必要な時であれば

誰か一人を指示して、集団ではなく

個に向けた依頼だと明示する。

 

「社会的な証拠」との戦い方

テレビで流れる録音された笑い声や

観客の中の「サクラ」など

「偽造された」証拠であれば反応しない。

 

 

4.好意

 好意を持った相手からの依頼は断りにくい。

外見の良さ、自分との類似性、お世辞などが好意を呼ぶ。

高頻度で会うような繋がりも好意を引き起こす。

対立しがちな相手であっても共同作業をすると好意を持ちやすい。

 

「好意」の使われ方

「良い警官と悪い警官」で

「悪い警官」が被疑者を高圧的に追い詰めた後

「良い警官」が優しく譲歩させる手段に乗りやすい。

 

また高感度の高いタレントなどを

商品広告に使うのもこの原理を利用している。

 

「好意」との戦い方

相手に対して「普通よりも早く好意を抱いたか」を感じ

早すぎるようであれば相手が策を弄していると考える。

また「交渉相手」ではなく、「交渉の結果」に

意識を集中させる。

 

5.権威

 人は権威のあるものには盲目的に従いがち。

肩書、服装、服飾品 などで権威づけられると

抗うのが難しい。

 

「権威」の使われ方

「医者からの指示」というだけで

看護師は明らかに間違えている薬を

自分で判断せずに投与していた。

 

また有名な「ミルグラムの実験」では

権威者に命令された場合、

被験者は痛がる相手への電気ショックを

最後まで止めなかった。 

 

「権威」との戦い方

「この権威者は本当に専門家なのか」と問う。

医者を演じる役者だと分かっていても

勧める医薬品への信頼を高まるが

本当の専門家ではないことを冷静に判断する。

 

また「どれくらい誠実なのか」という問いかけで

専門性を公正に利用しているのかどうかを判断する。

 

6.希少性

 「チャンスは今だけ」という希少性が背中を押す。

一度手に入れた機会を逃すことは

最初から手に入れられない以上の喪失感をもたらす。

 

 「希少性」の使われ方

 数量限定、期間限定の販売など。

巧妙なセールスは見込み客とのアポイントを

全て同じ時間に入れ、

見込み客同士が争う状況を作り出す。

 

ロミオとジュリエットも

親に反対されたことが情熱を激しくさせた。

 

 「希少性」との戦い方

そのものを「所有」することではなく

「使用」することに価値があるのであれば

「入手困難性」ではなく「使用価値」に

着目すべき。

 

 

【感想・考察】 

動物は人間ほどの知能が無いため、

ひな鳥の声など「一部の特徴」をもとに

自動的に反応している。

 

人間は高度な判断力を持っているが

情報過多の時代となり、

全ての情報を検討している余裕はなくなり

動物と同じように「一部の特徴」に

機械的に反応する機会が増えている。

 

全てを真剣に検討し判断することは不可能だし

一般的には、6つの原則に従うことは

良い結果をもたらすのは間違いない。

ただ、重要な局面では

「頭を使って判断する」労をいとわないことが大事だろう。

 

自分の場合「恩義」や「整合性」を必要以上に怖れている。

不利益を課せられると感じ、人の好意に素直に感謝できない。

ここは直すべきだろう。

一方で権威に弱いところは間違いなくある。

権威に対する反感が人並み以上に強いのは

自分が権威にコントロールされることを自覚しているからだろう。

 

「自分の頭で考えて判断する」ことができれば

「好意」を恐れることはないし、

「権威」も利用していけばいいのだと考えた。

 

また「希少性」の項にあった言葉は印象に残った。

「何かを愛することは、

それを失うかもしれないことに気づくこと」

そいうえば、 自分が大事に感じる者は

「失われそうなもの」ばかりだ。

 

 

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