毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

小説の神様 あなたを読む物語(上)(下)

高校生作家である、千谷一也(ちたにいちや)と

小余綾詩凪(こゆるぎしいな)の物語です。

 

物語の価値はどこにあるのか。?

物語は心を動かすことができるのか?

というような「小説家」しての想いを

ぶつけたような作品で、

その熱量に圧倒されます。

 

舞台設定の説明があまりないので

前作「小説の神様」を読んでから

こちらの作品を読むことをお勧めします。

「続編を出すことの意味」というテーマを

メタ的に理解することにもなりますね。

 

マジシャン酉乃のシリーズ続編を待つ読者がここにいますよ!

 

 

【タイトル】

小説の神様  あなたを読む物語

 

 

【作者】

相沢沙呼

 

 

【あらすじ・概要】

売れない高校生作家の 千谷一也は

とある事情から売れっ子作家の小余綾詩凪と

「帆舞こまに」というペンネームで共同執筆をしている。

 

初回作品の売れ行きはそこそこながら

続編を出すこととなるが、

小余綾 は続編を出すことの意味を探し、

プロットが進まない状態だった。

 

千谷は著名作家とのアンソロジーへの

出稿を依頼される。

大変な好条件でのオファーだったが、

小余綾との作品のスケジュールを考え

返事を留保する。

 

 

その頃、千谷たちと同じ高校で

文芸部の後輩である成瀬秋乃は、

中学時代に物語の楽しさを教えてくれた

友人を裏切ったことに心を痛めていた。

 

 

【感想・考察】

 

相沢沙呼さんの作品は大好きだ。

 

「人の弱さ」にテーマを当てる話が多いから

自己投影をすると読んで辛いと感じることも多い。

それでも「人間に対する強い信頼感」がブレずに有り

最後には成長し、少しだけでも先に進めるという

メッセージが伝わってくる。

 

 

「ちょっと感じの悪い登場人物」でも

その人の物語を読み解いていくと

必ず人間的な暖かさを感じることができる。

 

拗ねて捻くれながらも、真摯に世界と対峙し

周囲の優しさに支えられ、

困難を乗り越えていくのは、自分には染み入るストーリーだ。

 

 

 

小説家を主人公にした話で、メタ的な展開も多い。

作家としての自分を投影し、圧倒的な熱量で、

生々しい問いが大量に投下されている。

 

「物語はすぐに消費されるエンターテイメントに過ぎないのか、

人の心を動かすことができるのか」

 

「広く受け入れられる作品を書き機会をつかむのが大事なのか

「自分の物語」と思える作品との奇跡の出会いを信じるのか」

 

「ネットなどで作品を酷評する人たちには読解力がないのか

最終的に作品は受け手側に委ねるしかないのか」

 

「法のグレーゾーンで、

作品がネット公開されることは不可避なのか」

 

「今の書店の販売方法では、売れなければ目立たず

運に左右されてしまうものなのか」

 

「ライトノベルは一般文芸と比べて恥ずべき作品なのか

売れ行き重視で内容が薄いものが多いのか」

 

「誰のことも考えず、自分の物語を紡ぐのが楽しいのか

読者がいるからこそ幸せを感じるのか」

 

 

どの問いも、一元的な答えがあるものではないと思う。

自分は小説を書くわけではないが、

ひとりの読書好きとして、クリエイターを理解したいと感じた。

電子書籍ですが、ちゃんとお金を出して買ってますよ!

 

 

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