魔眼の匣の殺人 〈屍人荘の殺人〉シリーズ 屍人荘の殺人
屍人荘の殺人シリーズの続編です。
今回も、クローズドサークルでの連続殺人という
ベタな「本格推理」的展開にオカルト要素を組み込んでいます。
前作よりも緊迫感があって抜群の面白さでした。
【タイトル】
魔眼の匣の殺人
【作者】
今村昌弘
【あらすじ・概要】
前作でテロに巻き込まれた葉村と剣崎は
テロで使われた技術を生んだ「班目機関」について調べていた。
とあるオカルト系雑誌に、二人が巻き込まれたテロ事件が
数か月前に予言されていた記事を発見し
そこには「M機関」との記載もあったことから調査を進め、
W県の山奥の真雁地区に、かつて「班目機関」の研究所だった
施設があることを突き止める。
葉村と剣崎はバスで出会った高校生の男女、
ガス欠で立ち往生したバイク乗り、墓参りに来た女性、
親戚の葬儀に訪れた親子と一緒に、真雁の施設に訪れる。
施設には サキミと呼ばれる予言者と彼女の世話係、
そしてオカルト雑誌の記者が滞在していた。
サキミ は
「これから2日の間に、ここで男女2人ずつが死ぬ」と予言し
その夜、唯一外部と繋がっていた吊り橋が焼き払われる。
完全に孤立した11人は疑心暗鬼になりながら
予言の2日間に立ち向かう。
【感想・考察】
前作の様なパニックホラー要素はないけれど
連続殺人の緊迫感があり、本作の方が怖さを感じた。
剣崎の探偵っぷりも「知性で犯人の暴力を上回る」爽快さがあった。
オカルト要素が組み込まれつつも
論理的に考えていくと、犯人の意図も探偵の意図も理解可能な
ちゃんとした「本格推理」ものになっている。
前作・今作両方の事件の背景にある「班目機関」については
未だ全容が明かされていないが、
「コナンと黒の組織」的に、作品ごとの個別事件と
シリーズを通底する謎が平行するパターンだと理解した。
願わくば数十年かけることなく伏線を回収しきってほしい。