毎日一冊! Kennie の読書日記

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元気をもらえるラブストーリー「ガソリンゼロ」

切り口の違う3編のラブストーリーと、父と娘の物語が一編

暖かい短編小説集です。

「ガソリンゼロ」には元気をもらいました。

 

 

【タイトル】

ガソリンゼロ

 

 

【作者】

奥田徹

 

【あらすじ・概要】

4つの短編集です。

 

ガソリンゼロ

靴屋で働く周太は、毎日駐車場で原付に乗りクルクル回る。

そしてガソリンスタンドで働くルイに会うため、

100円分だけガソリンを入れに行く。

 

同じ町に住む浪人生の進平は、三歳年上のゴロツキ有田たちに

絡まれ逃げ出したいと思っていた。

 

有田に万引きを強要された進平は、

周太が働く靴屋で靴を盗むが、周太に追われ失敗。

失敗したことで進平は有田たちにボコボコにされる。

 

傷だらけの進平を見た周太は、

事情があることを察して責めず、

原付を貸してクルクル回らせる。

 

かつて有田たちと同級生だったルイは

進平を守ろうとする。

 

同じ場所をクルクルと回っているようで

彼らの時間は少しずつ前進していく。

 

 

役割

今から数十年後の世界、ロボット工学の第一人者である教授のもと

「僕」は研究室に従事していた。

 

僕は教授の姪である有純に恋をしていたが、

有純は「自分に課せられた役割」を果たすため、

僕との関係を深めようとしない。

 

20の誕生日の後、しばらく姿を消していた有純が現れ、

急に「何もかも捨てて一緒に暮らして欲しい」と言う。

ところが少し目を離した隙に、彼女は忽然と姿を消す。

数日後再び現れた有純は、にべもなく僕を振った。

 

絶望した僕は教授から打診されていた「役割」を引き受けることにする。

 

人には役割がある。

でもそれは、大切な「誰か」のためだ。

 

 

月の影

静かに死んだ父の葬式のため、一人娘である「私」は久し振りに実家に戻る。

 

五歳の頃、父に買ってもらった「子ぐまのぬいぐるみ」を抱きしめ

三日月の月明りに照らされていた。

 

親の思いに気付くのは大人になってから。

でもその後に一緒に過ごせる時間は、驚くほど少ない。

 

 

+1(プラスイチ)

中学生の「僕」は、道でぶつかった年上の女性に恋をする。

彼女が落としたストラップを持ち帰り、彼女の匂いを感じる。

 

友人が同級生に告白したことに刺激され、

僕も彼女にストラップを返し、想いを伝えようとする。

 

彼女を追ってバスに乗り、電車に乗って、いつか知らない

海辺にたどり着く。

 

恋に体当たりして、子供たちはは大人になる。

でも、恋にまみえて、大人は子供になるのかなぁ。

 

 

【感想・考察】

「ガソリンゼロ」が特にいい。

 

周太と進平の二人が格好よくて惚れる。

 

ドラえもんを送るのび太のような、進平の強さや

愛する人の幸せを願う周太の純粋さに、惹きつけられる。

 

日常から抜け出せず、グルグル回っているようでも

らせん状に少しずつ景色を変えていくものなのだろう。

二人がの世界が先に進んでいることを嬉しく感じる。

 

自分自身も、同じ生活を繰り返しているつもりで

いつしか思いもしないところに来ていて驚く。

人生は、らせん状に進むものなのですね。

 

 

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